医界寸評  PDF

 支持率の起死回生を狙った首相が初めて政治倫理審査会に出席するというパフォーマンスも、多くの国民には茶番劇としか映らなかったようだ▼今回の診療報酬改定は茶番劇ではなく、財務省主導で、中小病院と診療所を主とした多くの医療機関が減収となりそうな許しがたいものである▼にもかかわらず、従業員の賃上げを義務付け、結果報告が必要なベースアップ加算なるものが新設された。これに類するものはすでに介護報酬で導入されている。2009年に介護職員処遇改善交付金としてスタートし、2012年には介護職員処遇改善加算に。2015年に特定処遇改善加算が上乗せされ、さらに2022年の支援補助金(8カ月間のみ)がベースアップ等加算に姿を変え、2024年2月から5月の期間限定補助金を加えたものが6月以後ひとまとめの加算に模様替えする。巧妙な利用者負担増に加え、その度に計画策定と実績報告の方法が変遷し、現場の事務方はてんてこ舞いしていた▼それでも報告は年1回でよかったが、今回の医療保険では3カ月ごととされるようで、煩雑さはとんでもないものとなる。加算であり、患者の負担増となるわけで、病院勤務医の息子が「俺より少ないのか!」とビックリする院長の給与をさらに削って原資に回すことになりそうである。(呑鉄童)

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