協会は下京東部医師会との懇談会を12月2日にホテル日航プリンセス京都とウェブのハイブリッド形式で開催。地区から10人、協会から6人が出席し、下京東部医師会の粟野雄大常任理事の司会で開会した。深江英一会長から「政界や世界、医療情勢それぞれに問題を含んでいる。反対意見の根拠をしっかり認識して発信していく必要がある」とあいさつがあった。
意見交換では地区から以下の意見が出された。大学では研究の個人情報の取扱いが厳格で、マイナポータルを通じても、創薬分野へのいきなりの2次利用は厳しくなっている。PHRの推進は仮名の加工をすれば患者や国民に良いもののように思えるが、今の政府には任せられず注視は必要。情報はメディアを通じて国民に届けない限り、個人情報保護法の意義や重要性は広く共有されない。自身の情報の提供、選択、教育のプラットフォームが不足している。医療DXでの医療側のメリットはマイナンバーカードのIDと保険証番号を一つにすることで、届出の重複や公費負担医療の負担割合情報の遅延解消が期待できる。我々が便利になる前向きな議論が必要だ。
協会からは次の通り応じた。個人情報の活用には個人の明確な了解と追跡が可能な仕組みをつくることが必要。日本ではDXの具体的なメリットが抽象的である。医療従事者側からの提言を協会から発信したい。医療情報をリアルタイムで活用すれば効果的な診療が可能になるが、現状は利便性が不足しており、情報連携や共有化はトラブルの元になる可能性もある。患者が情報の使用に関与できる欧州の仕組みに倣い、日本でも医療データの利活用に関する明確な枠組みが必要。患者の情報が透明かつ安全に管理される仕組みが重要だ。医療の質が良くなるよう要求したい。
かかりつけ医については地区から以下の指摘があった。欧州のかかりつけ医は家庭医のような枠組みだが本当に有益か、日本と比較できていない。一概に否定せず良い面は取り入れる。情報の選別が必要。健康な人にかかりつけ医はおらず、病気の人のかかりつけ医と切り分けた議論が必要。
協会からは次の通り応じた。欧州は各国でかかりつけ医制度が異なる。日本のかかりつけ制度もコロナ禍の4年で受診困難や各所との情報連携不足など課題が浮かび上がった。問題解決のために、かかりつけ医制度の在り方を踏まえた議論が必要。
最後に前田眞里副会長から「下京東部医師会のみならず日本医師会においても、医師会に入会する意味など根本的なことが忘れられている。小さな医師会だが、魅力ある医師会をつくっていきたい」とあいさつがあり、会を締めくくった。
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