拝啓、雪解雨の候、いかがお過ごしでしょうか。雪解雨。降り積もった雪を解かすように降る雨のこと。雨の水分を植物が吸収して新芽が出る。雪という言葉があるが春の雨。寒い中にも春の訪れが間もなくであることを告げる雨の音は、どこか温かい▼我が国には医療界も含めてDXの波が押し寄せている。その一環として開業医に求められるのは、オンライン請求、電子処方箋、標準型電子カルテ導入などのIT化である。IT化するためのデジタル機器の購入・維持には経費が掛かるが国の補助金はままならない。またIT機器の取扱いには専門の知識がいる。日本の開業医は高齢化が進み、2020年での平均年齢は60・2歳(厚労省)。高齢の開業医にとって急速なIT化は金銭的、精神的にかなりのハードルとなる。こんな時の気持ちの持ちようを教えてくれそうなエピソードをここに示す▼「人生の本舞台は常に将来に在り」。明治から昭和期の政治家、尾崎行雄が1931(昭和6)年に演説で述べた言葉である。当時、尾崎は73歳で病気療養中であった。それでも将来への希望を失わず、この言葉を残した。94歳になった時、震える手でこの箴言をしたためた。その書は国会議事堂の前に立つ憲政記念館に今なお掲げられている▼このエピソード、厳しい中でも、どこか温かい。敬具(clear)
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