コロナ禍で注目された保健所の役割 命守るため地域に根ざした保健師を 保健所の復活を考える市民のつどい  PDF

 12月13日、「京都市のコロナ行政を振り返り、行政区保健所の復活を考える市民のつどい」が京都労働者総合会館ラボール京都で開催された。主催は京都社会保障推進協議会が事務局を担う京都市の公衆衛生行政の充実を求める京都市実行委員会。25人が参加した。
 京都社会保障推進協議会副議長の南博之氏の司会で進行。はじめに二つの基調報告があった。
 まず「コロナ禍で問われた京都市の公衆衛生行政」として保険医協会の中村事務局次長が報告した。2010年の行政区保健所全廃と前後して行われた保健師の地区担当制から業務担当制への移行により、市の公衆衛生機能が決定的に後退した局面でコロナ禍に見舞われたと指摘。感染症対策では保健所が感染者を医療につなぎ、命を守る拠点となる。京都市行政区にその拠点となる保健所があれば、今回のコロナパンデミックで救えた命があったのではないかと強調した。
 続いて「保健所の現場から考える市の感染対策」として、保健師で京都市職員労働組合民生支部の井上淳美氏が報告した。保健師は担当する地区であらゆる課題に対応する役割を担うが、業務担当制になって各制度の隙間で起こる問題に対応できなくなっていると現状を説明。京都市民に地域担当の保健師を取り戻そうと参加者に訴えた。
 講演では「市民の権利としての公衆衛生の確立へ」と題して、佛教大学教授の岡﨑祐司氏が講師を務めた。コロナ禍が明らかにした「再生テーマ」として「公共の再生」「命と暮らしを守ることと『身体性』の重視」「公共を担う職員(専門職)がやりがいを持って地域に根ざし、コミュニティに関わる実践」が必要とし、新自由主義改革の強行は終わりにしなければならないと強調した。公共性とは総合性であり、内部での連関・外部とのつながりを持って地域に関わるのが自治体職員の仕事とし、その上で市民が党派的な政治の捉え方を超えて政治を動かす運動が必要だと指摘した。
 最後に京都社会保障推進協議会事務局長の松本隆浩氏が「市内全ての行政区に保健所の設置を求める要請書」の取組みを提起し、24年1月までに署名1万筆を集めようと訴えた。

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