思い描く開業像の実践は準備と工夫を根気よく 勤務医向けに開業講習会  PDF

 協会は新規開業を考えている勤務医を対象に「新規開業を考える方の講習会」を11月19日に開催し、8人が参加した。

 ひろせ税理士法人認定登録医業経営コンサルタントの常田幸男氏より「医院成功は開業前の準備が9割~『院長』になる前に知っておくべきこと~」をテーマに講演。その後、のぶまさクリニック院長の髙垣伸匡氏(下京東部)より開業時の経験などを話していただいた。
 常田氏は、①開業に至るまでのスケジュールとポイント②開業後に事業が安定するまでの課題や工夫―などの具体的事例を解説。開業場所の選定に関して「どのエリアで開業したいかを検討し、会計事務所や銀行などに相談して多くの不動産情報を集めることが重要だ。日本医師会運営の『地域医療情報システム』で各地域の年齢層別の将来人口推計や現状の医療供給体制を調べることができ、開業地選定の参考になる」とアドバイスした。医療機器に関しては「コロナ禍以降、予約システムや自動精算機の導入が多くなり、キャッシュレス化も進んでいる」と最近の傾向を述べた。開業後の課題として「経営が軌道に乗るまでは開業前に思い描いていたものとギャップが生じる。さまざまな工夫を根気よく継続することが肝要だ。開業医の悩みは尽きないが、開業準備は一生に1回。楽しんでほしい」と締めくくった。
 先輩開業医からのアドバイスとして髙垣氏は「開業前に知人の医院を見学させてもらい、事務職員や看護師の必要人数や配置など非常に勉強になった」と振り返った。診療報酬やレセプト作成は「診療内容によって、算定できる点数が決まってくる。事務職員と綿密に打ち合わせすることでレセプト作成が楽になる。経験豊富な事務職員でなくても、医院に合わせた事務職員を育て、ともに学んでいくことが大事だ」とアドバイスした。最後に「開業は基本的に良かったと感じている。自分が必要と考える医療を提供でき、患者さんにも喜んでもらえる。世に貢献しましょう」と述べた。
 曽我部理事からは地区医師会への入会手続きと会員医師の経営と生活をサポートする保険医協会の各種共済制度などを説明。参加者からは「さまざまな視点からの知識が勉強になった」との感想をいただいた。
 次回の講習会は、5月19日(日)に開催予定。

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