医会寸評  PDF

 元日夕刻、大きな揺れでテレビをつけた。珠洲は定点カメラの映像が続いた。輪島火災では放水は夜通し2本だけだった。輪島市・珠洲市住民の半数が避難し、状況不明の孤立集落もある。キーウのミサイル被弾はお茶の間でリアルタイムに放送されているが、情報収集はどうなっているのか▼輪島は200棟以上焼け落ちた。能登の倒壊家屋の下にはまだ人がいる。有事対応が実に遅い。地政学的問題は既知である。翌日、地震対応で出動した海上保安機に日本航空機が衝突した。有事が平時と区別されず対応されている▼国立社会保障・人口問題研究所は「2100年人口6000万人社会到来」を公表した。人口戦略会議は「安定的で成長力のある8000万人国家」を提言した。団塊世代出生時を念頭に置いている。当時地方は元気だった▼大都市以外で人口減少は続き、過疎が加速している。有事に見放された土地での生活は不安である。ミサイル落下や他国の侵入があっても把握されず、無人なら現地の報告も入らない。40数年前、北陸沿岸で拉致被害が繰り返された▼過疎地にこそ国土強靭化を優先すべきだ。リモートではないリアルな医療、「手当」も必須である。これらを維持管理する体制があれば、経済は回り地方再生につながる。敵基地攻撃能力より重要で本質的な防衛力である。(恭仁)

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