私の旅行記 四国の隅っこ隠れ鉄 ―予土線で乗り鉄の3兄弟― 村上 匡孝(綴喜)  PDF

 コロナの間 頃合いみながら 行く頃な
 人里離れた山間の鉄路、超ローカル線の鉄旅、予土線のお話です。
 「しまんとグリーンライン」と呼ばれる予土線は、愛媛県側は山の中、高知県側は四万十川に沿って走る、愛媛県の宇和島(予讃線)と高知県の窪川(中村線)を結ぶ線路です。三大名物列車があり、予土線3兄弟としてその筋では知られています。
 名物の鯛めしが美味しい宇和島から、「しまんトロッコ」で旅に出ます(写真1)。32系気動車一両にトロッコが一両増結された黄色い列車は穏やかな空気の中をゆるゆるとのんびりと走ります。風に吹かれて身はそよそよ。山間の汽車旅に気分は晴ればれ。分水嶺を越えたら、いよいよ伊予から土佐に来たとさ。
 江川崎駅で降りて、「鉄道ホビートレイン」に乗り移ります。列車は100系新幹線の着ぐるみを着た、一両の32系気動車(写真2)。こんなところに新幹線? 何でなん? と突っ込みたくなる変てこりんで奇天烈な名物列車なのです。
 山の緑と川の青、碧と蒼のコントラスト。川をまたぐ沈下橋も美しい。右に左に四万十川は踊り、川面の光は空を彩り、美しい車窓を楽しむうちに土佐大正駅に到着しました。この駅は昭和レトロの逸品駅舎。駅前通りは寅さんの映画の中の昭和の世界がそのまんま。下車しての散策が実に楽しいのです。魚屋がしている名物食堂までぶらぶら歩いて、名物の鰹のたたきを賞味します。純平(日本酒)と無手無冠(栗焼酎)を指名して一緒に一息一杯。ひとときをゆっくりして駅に戻ります。
 次に乗るのは「かっぱうようよ号」です(写真3)。フィギュアで有名な海洋堂が沿線にある縁で、車両のデザインは外装も内装も海洋堂とコラボしたラッピング車両です。車内にも河童のフィギュアがうようよしている“海洋堂ホビートレイン”(写真4)。若井(わかい)、半家(はげ)。予土の珍駅名に、河童と一緒に笑っていると、列車は終点の窪川駅に着きました。
 投宿して、明日は中土佐町、久礼大正町市場かなぁ。
 今回の推し地酒。無手無冠・特別純米(無手無冠、土佐大正)、久礼・純米大吟醸(西岡酒造店、中土佐)。
 (予土線の3兄弟列車。2020年8月乗)

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