協会は病院幹部職員を対象に「医療政策セミナー」を11月15日、29日にウェブで開催した。全国の保険医協会・医会にも呼び掛け、両日併せて411人が参加した。
15日は「まるわかり!?『様式9』―疑問点を解決」と題して協会の花山弘事務局長が解説した。23年度適時調査の実施状況を紹介し、届出書添付書類「様式9」の作成に当たって誤りやすい点を中心に説明した。
勤務時間数は上段(病棟日勤)、中段(病棟夜勤)、下段(総夜勤)に分けて計上する。▽夜間時間帯の申し送り時間のうち、申し送る時間を控除する場合は中段、下段ともに控除する▽夜間時間帯の会議などの時間を控除する場合は中段からは控除するが、下段からは控除しない▽入院料の種別が異なる病棟を兼務する場合で、複数の「様式9」に名前のあるスタッフの下段は、いずれの「様式9」においても下段の時間記載は同じ―などを説明した。
29日は「社会保障制度をめぐる差し迫った課題~医療DX・保険証廃止・第8次医療計画等を中心に~」をテーマに、協会の中村暁事務局次長が解説した。
岸田内閣が「新しい資本主義」「分配」を訴え誕生したが、その政策は新自由主義改革政治そのもの。社会保障は歳出抑制の対象とした上で、財務省が11月20日に取りまとめた「秋の建議」からも、本来であれば引き上げが期待される24年度トリプル改定が非常に厳しい状況にあると説明した。
医療DXは、その入口としてオンライン資格確認と保険証廃止が利用され、マイナンバーカードの取得と利用を促進。全国医療情報プラットフォームを構築し、個人情報の公益活用や民間企業による二次利用を狙うもので、医療機関や患者にとって真に有益な医療DXではないとした。
24年度に策定される第8次医療計画は、新興感染症等対策、地域医療構想の推進、かかりつけ医機能を発揮する制度整備、医師の働き方改革などに係る内容が盛り込まれ、少なからず地域医療体制に影響を及ぼすとして注視を促した。
参加者アンケートには好意的な声が多く寄せられた。