医会寸評  PDF

 2024年4月から長時間労働削減を目的に、医師の働き方改革が始まる。これが始まると当直業務に来てくれていた医師が来てくれなくなったり、大学病院の医師が学外で勤務できる時間が少なくなり、給与が減り大学病院を辞めてしまうのではないか、また勤務医ばかりに目がいって、開業医の労働時間は逆に増えるのではないか―などさまざまな懸念が出されている。医療の質を落とすことなく、長時間労働が緩和されるのであればそれは望ましいことではあろう▼ “働き方”と聞いて、作家の曽野綾子氏の言葉を思い出した。いわく、「人は何のために働くのか」。お金を目的に働くという考え方はもちろんあるであろう。お金はもらった時は嬉しいかもしれないが、使ってしまえばその嬉しさはそこで終わる。だが働いたことで誰かに感謝されれば、その場面を思い出すたびに何度でも幸せな気持ちになれる。だから人から感謝をされるような働き方をしてはどうかというのである▼今の日本は先の見通せない閉塞感が漂い、一生懸命に働いてもなかなか評価されない世の中かもしれない。そのような中でも医療は幸い感謝される場面が多い分野だと思う。だから私たちは幸せな気持ちに繰り返しなれるよう、人から感謝されるような働き方を目指してはどうだろうか。(京凡人2世)

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