“PFAS汚染”対策を府に緊急要請 綾部の河川で高濃度 汚染源の解明を  PDF

 綾部市の犀川周辺で国の暫定指針値の最高で56倍もの高濃度の有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)が検出されたことを受け、協会は10月19日、京都府に要請を行った。専門家の立場から、協会政策部員の小泉昭夫氏(京都大学名誉教授)が同席して府の環境管理課に「有機フッ素化合物対策についての緊急要望」を提出し、懇談した。

 有機フッ素化合物(総称PFAS)は発がん性など健康への影響が懸念されており、自然界ではほぼ分解されず、「永遠の化学物質」と呼ばれる。中でも防水加工や泡消火剤などに使われてきたPFOSとPFOAは第1種特定化学物質に指定され製造・輸入・使用が原則禁止されている。国内では沖縄米軍基地周辺や大阪のダイキン工業周辺など深刻な汚染のほか、各地で汚染が報告され問題となっている。
 環境省は飲み水1リットルあたりのPFOSとPFOA合計で50ナノグラム(ナノは10億分の1)を暫定指針値に設定。「体重50キロの人が毎日2リットルの水を生涯にわたって摂取しても健康影響が出ない値」とされている。現在、暫定指針値を環境基準に格上げすることなども含めて、国の専門家会議で議論しているとされる。世界的に規制が進む中、米国は健康影響として免疫毒性、発がん性、胎児・乳児への発育抑制、脂質代謝異常は根拠があるとして、さらに厳しい規制強化に踏み込んでおり、23年中に物質ごとに1リットルあたり4ナノグラム未満とする規制案を成立させる予定である。
 府の発表(9月17日)によると、21年度から府内48地点で年1回水質測定を行っており、23年8月に行った採水で、それぞれ1リットルあたり犀川(環境基準点)で220ナノグラム、その支川・天野川で2800ナノグラム(56倍)が判明した。府と綾部市は周辺住民に井戸水を飲むのを控えるように呼びかけ、放流した事業者に水処理の改善(活性炭交換)を指導したとした。9月29日に発表した再検査値では基準点で下がったが、天野川は1リットルあたり6300ナノグラム(126倍)に跳ね上がっており、事業場放流原水は1リットルあたり3万6千ナノグラムもの値が検出されている。報道では基準点の数値について21年度調査で1リットルあたり69ナノグラム、22年度調査で1リットルあたり200ナノグラムが明らかになっていたにもかかわらず、「結果の変動が大きく、誤差の可能性もあるので経過を見ていた」とされており、速やかに行動しない消極的な姿勢は問題である。
 その地域にあるはずのない特定化学物質がどこから持ち込まれたものかは、今後別の地域への波及を断つための重要な情報である。しかし府は、法令違反ではないため事業者情報は一切明かせないとしている。
 国の対応が迅速に進んでいないことが最大の問題であるが、府として住民の生命と健康を守る立場から対応してもらうため、協会は4項目(左記)を要望した。

PFOS、PFOAについて京都府への要望
地域住民への健康被害をくい止めるため、放流を止めさせた上で土壌汚染の実態を把握し、最大限の手立てを尽くすこと
各地に拡散して被害を拡大させないよう、業者がどこから依頼されたのかを明らかにすること
国に対して汚染の拡散を防ぐ対策を要望すること
京都府内の別の基準超えの地点について早急に汚染源の特定を行うこと

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