診療理念を具現化し、形に変えていく 医療機関オリジナルの接遇研修  PDF

 らくおう眼科クリニック(下京東部)は8月21日に接遇研修を開催。協会は講師として(株)JAPAN・SIQ協会の米谷徳恵氏を派遣。当日は宮下靖子院長を含め5人が参加した。

 米谷氏は、研修とは「共有の場」「視点を養う場」「自己成長の場」であり、客観的に自分を観て、自分の無意識の行動に気づき、意識することで行動を変容させることが目的であると述べた。その上でクリニックの診療理念に触れ、今回の研修はこの理念を具現化し、形に変えることが目標だとした。
 医療機関に限らず、顧客(患者)が期待するサービスと提供するサービスが釣り合うことは日本では「当たり前」のこととされる。患者の期待を上回るサービスを提供することで、患者が感謝や信頼を感じると、リピーターになったり、周囲に口コミを広げたりするが、患者の期待に応えられないと、小さな不満が積もって苦情になり、クレームへと発展することもある。たとえ思いやりの気持ちを持ってサービスの提供に取り組んでいても、その気持ちを上手く表現できないと患者には伝わらない。患者は五感でスタッフを評価するが、その割合は視覚と聴覚が大部分を占めることから、米谷氏は、身だしなみ・表情・態度(立ち居振る舞い)・言葉遣い・あいさつの5項目が思いやりの気持ちを表現するポイントとして、各項目について解説した。
 身だしなみでは、「おしゃれは自分のため、身だしなみは相手のため。おしゃれにする必要はなく、身だしなみを整えること」と解説。清潔感・機能的・調和・控えめの四つの観点で、院長やスタッフ全員で身だしなみのルールを作成することで、スタッフ全員が責任を持って守る、クリニックのブランドを作っていくことができる。また、昨今は香水だけでなく、柔軟剤などの香りにも気を配る必要があるとした。
 表情では、参加者を2人ずつに分け、1人がお題に沿った表情をし、もう1人が何の表情かを当てるゲームを実施。米谷氏は、患者の表情が分からないと、求めていることも分からないため、表情をする側だけでなく、当てる側のスキルも必要と述べた。また、患者とアイコンタクトを取るときは、相手を見下げる・上目遣い・横目で見るなど「目だけで見る」のは威圧感を与えるので、必ず顔を相手に向けることが大切だとした。
 態度では、手のひら・手の甲のどちらを向けるかによって相手に与える印象が異なることを説明。傾聴の姿勢やお辞儀、問診票の渡し方、道案内(指し示し)などについて、実演を交えながら解説した。
 あいさつは仏教用語の「一挨一拶」に由来し、「挨」は心を開く、「拶」は相手に迫る意味であるとして、自分からすることに価値があり、相手にしてもらうことを求めたり、されないことで気を悪くするものではないと述べた。
 言葉遣いでは、「恐れ入りますが」「申し訳ございませんが」「失礼ですが」の三大クッション言葉を紹介。コミュニケーションとは情報を伝えるだけではなく、意思疎通(言ったことに対して反応が戻ってくること)が重要であり、言葉・口調、表情、態度のどれが欠けても気持ちは伝わらない。大切なことは、ただ丁寧な言葉遣いよりも、心のこもった話し方、どう話すかであるとした。
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 病院・診療所での接遇研修の講師を派遣します。実際の場面を想定した実技練習など、お困りごとにあわせたオリジナルの研修を実施。お気軽に協会事務局にお問い合わせ下さい。
 ※院内接遇研修開催費や協会主催の接遇マナー研修会参加費は、税制優遇の対象となります(給与等の支給額が増加した場合の特別控除のロ.教育訓練費)。詳細は協会事務局にお問い合わせ下さい。

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