協会も参加する「保険で良い歯科医療を」京都連絡会の第6回総会・市民講演会が7月8日に開催された。市民講演会は「知っておきたい口臭の基礎知識? 自信をもってマスクをはずすために?」をウェブ併用で開催し、63人が参加した。講師の谷口奈央氏(福岡歯科大学教授)は、コロナ禍でのマスク生活における口臭への影響や口臭の基礎知識、予防法などについて説明した。
4人に1人が悩む時代
谷口氏は、口臭に関する「悩み」を持つ人は1999年調査では15%だったが、2016年は27%と1・8倍に増加し、今では4人に1人が口臭を気にするようになってきたと説明。口臭の特徴として、①嗅覚は「順応」するため、自分で正確に評価できない②人間関係にも影響する―を挙げた。
大半は「口」に原因
口臭の原因は、血液を経由しない口臭と、血液から肺でのガス交換を経て発生する口臭の2種類あり、大半は前者で口・鼻・喉などから生じる。その中でも口に起因するものが圧倒的に多く、う蝕や歯周炎・歯肉炎、舌や歯の汚れ、唾液の減少などが主であるとした。血液を経由する口臭の原因は、糖尿病や肝臓・腎臓などの疾患を挙げ、疾患特有の臭気があるとした。
口臭の発生機序として、口腔内のたんぱく質を嫌気性菌が分解することで臭いが発生する。嫌気性菌は酸素を嫌うため歯周ポケット内に多く棲みついており、口臭の悪玉菌的な存在であると説明した。
マスクでは防げない
コロナ禍においてマスク生活が続いたが、口臭を他人に気づかれないようにする目的での着用について、不織布マスクの穴のサイズは臭いの粒子を通し、安心できるほどの効果は得られないと結論付けた。また、マスク着用による口臭リスクについて、口の運動や水分摂取の低下、息苦しさによる口呼吸などによって、自浄作用低下や口腔内が酸性に傾き細菌増殖と菌叢均衡に狂いが生じ、口臭が増強するメカニズムを紹介。
簡単なことで予防効果
口臭の予防方法も解説。臭いの強い物を食べた場合は、ガムや清涼カプセルなどによるマスキング効果で対応可能とした。う蝕や歯周病などが原因の場合は、歯科治療によって改善できる可能性を紹介。歯間ブラシなどの使用や舌の汚れ(舌苔)を舌ブラシなどで清掃することも勧めた。また、口腔乾燥を防ぐことも口臭予防につながることから、唾液量を増やすマッサージなど口周りの筋肉を動かすことも効果ありとした。
最後に、どのような手立てを尽くしても口臭を指摘されたり、自身の口臭が気になる場合は口臭専門外来を受診することを勧めた。