医師・医療従事者にも過重労働による過労死や過労自殺が生じるか? 然り。実際に時間外・休日労働での過重労働時間数を基に労災認定との事例が蓄積され、訴訟事例もある▼では、過重労働は誤診・過誤処置などの医療過誤をもたらすか? これは、奈良県で頭蓋内出血症状を妊娠中毒症と誤診され、開頭術が遅れて死亡した産婦に関わる医療過誤訴訟を担当した裁判官の判決文内での傍論的述懐の内容である。「過重労働時に診療に従事さすことは、医療安全上いかがなものか」。本会の医療安全対策部会内での最近の議論でもある▼そこで、京都府内の整形外科標榜151診療所および同部門のある58病院に「労働過重は医療過誤にも結び付くか」を主旨とするアンケート調査をして、26人12・4%から回答を得て、F検定・t検定・χ二乗検定して検討した。男性診療所開設者19人中一週労働時間50時間未満の「短群」11人と50時間以上(52 82時間)の「長群」8人とを比較。長群では、a時間外受付診療、b往診・在宅医療、c救急・日当直をするが有意に多く、長時間労働とも感じ、誤診や医療過誤は、心配する人もいたが、実際生じたとの回答者はなく、この範囲の長時間では、医療過誤の原因とまではいえなかった▼ワーク・ライフ・バランスのある医業継続が重要である。(卯蛍)
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