協会は第76回定期総会(第205回定時代議員会合併)を7月30日にホテルグランヴィア京都で開催。会場と参加者をネットでつなぐハイブリッド形式で実施した。95人(代議員64人、一般会員8人、役員23人) が出席し、飯田泰啓議長と戎井浩二副議長が議事を進行した。2022年度活動報告と23年度活動方針、顧問委嘱、決議案を提案し、全て賛成多数で承認、採択された。(関連2・3面)
茨木和博副理事長が22年度の活動を総括した。オンライン資格確認システム導入の義務化と保険証廃止の撤回を求めた署名や国会要請などの活動を報告。個人情報漏えいなどのトラブルが多発する中で成立したマイナンバー法等改正を受けて緊急アンケートを実施、保険証なしでは資格確認ができないとの会員の声を厚労省へ訴えたと述べた。京都府へはこれまでのコロナ対策を検証し、引き続きコロナ対応と新興感染症対策への取り組みの改善を求めたと報告。その他、診療報酬改定関連では22年度改定の不合理是正と24年度改定に向けた特定保険医療材料の価格設定の改善要請などを報告した。
続いて、渡邉賢治副理事長から情勢を報告。ロシアによるウクライナ侵攻の終わりが見えない中、今後5年間の防衛費総額を43兆円とした政府の方針に危機感を述べた。また全世代型社会保障法は高齢者の負担増だけでなく、世代間・収入の格差間の分断をも生み出しかねないと懸念を示した。コロナ禍で露呈した医療提供体制の脆弱性や貧困、生活困難の問題は大企業の経済活動を優先する規制緩和や自己責任を押しつけた政策の結果だと指摘。人々の暮らしの保障と少子高齢化対策のために医療・介護・福祉などの社会保障の充実こそが必要と強調した。
情勢報告を受けて、鈴木卓理事長が23年度活動方針を提案。コロナ禍や物価高において、医療従事者の賃金引き上げは重要であり、24年度診療報酬改定での引き上げが必要とした。マイナンバーカードを巡る問題については、従来の保険証を残す重要性を強調し、最低限、資格確認書は期限なしで発行すべきと述べた。医療のデジタル化は反対ではないが、政府の掲げる医療DXは経済界による制度設計で、医療を成長戦略につなげるべきでないと指摘。医療保障の前進となるあるべきDXを要望したいと述べた。新型コロナについては、コロナ禍での経験を総括する一環として、会員各位の体験談の寄稿を呼びかけた。
総会後は「さくらんぼに見えた梅干し『別世界』というカルチャー」と題し、講演会を開催。講師は京都外国語大学国際貢献学部グローバル観光学科教授のジェフ・バーグランド氏が講演した。参加者は54人。
(講演録は後日掲載予定)