保団連は5月24日、衆議院第二議員会館内で厚生労働省保険局医療課への要請を行い、24年診療報酬改定に向けた21の重点要求項目について対応を求めた。厚労省内での議論の本格化に先立って要請し、検討の俎上に載せるよう強調した。同省の出席者は保険局医療課・渡邊課長補佐、上原・加古主査、石井専門官。保団連からは住江会長、事務局8人が参加、紹介議員の田村智子参院議員(日本共産党)の秘書が参加。京都協会から事務局が参加した。
保団連は第一に、基本診療料の引き上げについて、新型コロナ感染症の感染拡大を経て院内感染対策の費用が上がっていることや、この間の物価・光熱費の高騰などへの対応から、医療機関経営を安定させる十分な原資となる水準まで点数を引き上げるよう求めた。
住江会長は「与党・自民党や経団連からも物価高騰を受けた賃上げが呼び掛けられている。コロナ対応などで疲弊している医療現場を支える医療従事者の賃上げのためには、基本診療料を中心とした診療報酬引き上げが不可欠だ」と訴えた。
厚労省は「物価上昇への補填については、診療報酬改定は随時改定であろうとも対応に時間がかかることもあり補助金で行ってきた」と述べたが、会長から再度、基本診療料の引き上げを強く訴えた。
また、京都協会が会員の在宅療養支援診療所を対象に行った調査を基に、在宅医療で用いられる特定保険医療材料の多くで購入価格が償還価格を上回る「逆ザヤ」の状況を示し、物価高騰などによる価格変動を迅速に保険償還価格へと反映し「逆ザヤ」を解消するよう求めた。また、価格調査の対象が大規模医療機関や大型チェーン薬局に偏っている問題を指摘。スケールメリットを生かした価格交渉ができる施設のサンプルが多くなり、一般の開業医が償還価格より高く購入している実態の把握を求めた。
厚労省は「価格には抽出率も加味していると認識している。調査対象となる診療所を増やすには予算への影響が大きいことや調査に応じる医療機関側の負担もあると思う。ご指摘は受け止めたい」と述べた。
さらに、院内調剤を行う診療所における一包化への評価を求めた。厚労省は「院内調剤で一包化している実態は把握している。評価の在り方は、全体の中でどのように位置づけられるかによって、今後俎上に上り得るものと考える」と回答した。その他、周知期間の確保、レセプト摘要欄記載事項コードの改善、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)「2」の月1回の算定制限の撤廃、往診料だけで患者が死亡した場合の在宅ターミナルケア加算の算定、低過ぎる注射実施料の引き上げなどを求めた。
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