新型コロナ編 地域医療 22 コロナ禍での開業をきく!  PDF

頼れる身近なクリニックでありたい
5類移行後も動線分離して対応

 コロナ禍で開業した医療機関の実態を知るため、京都市西京区の桂川さいとう内科循環器クリニック・齋藤成達医師に5月23日、インタビューした。クリニックは阪急桂駅から徒歩15分程の桂川街道沿いにある。第5波の感染拡大のピークを迎える2021年9月に開業された。

齋藤 成達 医師に聞く

 周囲からはやめるべきだと強く勧められましたが、私の開業したいという強い意志は揺るがず、2021年9月に開業しました。勤務医時代は、大学病院という大きな組織の一員として働いており、「こんな風に診療したい」という考えを具現化するのは困難な部分も多くありました。私自身のスタイルで診療できることに魅力を感じ、開業しました。開業以降は、勤務医時代よりも患者さんとの距離が近くなり、毎日が充実しています。
近隣の患者さんの発熱外来として
 第6波から第8波までの新規感染者数が、多い日には1日あたり30人程度の発熱外来患者さんがおられ、そのうち8 9割が陽性という日もありました。現在は1日あたり10人程度の発熱外来患者さんがおられ、そのうち陽性者は2割程度に落ち着いています。当院では小児の診療は行っていないため、10代から中高年の方が来院されています。開業当初は、発熱しているとタクシーに乗ることができなかったため、発熱外来に来られる患者さんの多くはクリニックの近隣に住まわれている方が多かったです。その流れが今でも続いており、外来患者さんの多くは半径500m以内にお住まいの方です。
 開業後、スタッフの4割がコロナに感染しましたが、幸いなことに勤務調整をしながら発熱外来を続けることができました。患者さんの様子を見ていると、今では社会全体がコロナに慣れてきたように感じています。コロナ感染後に倦怠感などが続く、仕事が辛いといった事例もあります。しかし、それがコロナの影響かどうかを診断するのは難しいのが現状です。
5類移行後もこれまでの感染対応を
 5類移行後もこれまでの感染対策を維持しています。発熱外来では、発熱患者専用の診察室を設けています。通常の診察室と発熱用の診察室は、受付を挟んで左右に分け、それぞれの動線が確保されています。これまでは時間的に分けて対応していましたが、5類移行後は通常診療の時間とある程度並行して対応しています。それ以外の医療機関としての対応は変わっていません。コロナの公表データは定点把握となりましたが、公表されているデータから大まかな状況を把握することができており、今のところ問題なく対応していけると考えています。

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