オンライン資格確認義務化、健康保険証の廃止、マイナカードと一体化したマイナ保険証の導入が政府によって打ち出された。これを受け、協会はこれらの真の狙いは医療費抑制だとして、オンライン資格確認義務化反対の会員署名と健康保険証廃止反対の患者署名を行った。
政府が健康保険証を廃止しようとしているのは、マイナンバーカードを普及させるためであるということもできる。すなわちマイナンバーカードを普及させるという目的達成のために健康保険証廃止という手法が用いられているのである。
政府は最短で2024年秋の保険証廃止を目指し、その代わりにマイナンバーカードを用いたオンライン資格確認を用いることとしている。しかし、マイナンバーカードを発行できない人が多数発生するであろうことは想像に難くない。例えば高齢者・障害者施設に入所している人にとって、マイナンバーカードの発行手続きや管理は難しいだろうし、カードの紛失が多発するかもしれない。
マイナンバーカードは公的個人認証機能を有しており、暗証番号が分かればマイナポータル上で各種公的手続きができるようになっている。そのため、もし暗証番号を第三者である高齢者施設長などに知らせることになれば、本人の知らないところで個人情報がやり取りされることも想定される。果たして本人や家族がこれに同意するだろうか。またこういった問題を抱えること自体、高齢者・障害者施設の関係者にとって多大な負担となる。
保険証廃止の問題は、地区医師会との懇談会でもたびたび話題に上っている。府内の開業医、中小病院医療従事者の多数は、どう考えても非合理的であるとして保険証廃止論に異を唱えている。
社会全体のデジタル化を止めることは誰にもできないだろう。しかしデジタル化が進むことで効率のみが追求され、医療費が抑制され、その結果人間が人間らしく生きる権利までもが脅かされるとしたら…。我々はそのような事態が起こらないよう全力を尽くしたい。
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