採血による神経損傷はだれの責任?
~合併症?医療側の責任?~
日時 5月20日(土)午後3時30分~5時30分
形式 Zoomウェビナー
対象 会員・医療安全担当者・従事者
参加費 無料
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第1部
演題 注射による神経損傷
講師 名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科
個別化医療技術開発講座 特任教授
名古屋大学大学院医学系研究科 手の外科 元教授
平田 仁 氏
講師コメント 採血は最も頻度の高い医療行為であり、その多くは上肢の皮静脈よりなされる。静脈近傍には前腕皮神経が伴走するため注射針による神経損傷のリスクを伴う。静脈と神経の解剖学的関係は個人差に富み、静脈穿刺中の神経穿刺のリスクを完全に回避することはできない。末梢神経に注射針が接触すると典型的には神経の支配域に放散痛を訴える。しかし、軸索損傷や神経周膜断裂などの高度の組織損傷を起こさない限り、神経幹穿刺による難治性疼痛発生リスクは小さい。本講演では注射による神経損傷の自然経過や予後、治療のポイントを説明する。
第2部
演題 採血時の神経損傷と法的責任について~裁判事例をもとに~
講師 仁邦法律事務所 所長 桑原 博道 氏
講師コメント 採血後に神経障害の訴えがあったとしても、法的には必ずしも過失ではない。しかし、血管に当たらず異常な痛みがあるのに針先で探り続けた、合理的な理由なく手首を穿刺した、電撃痛があり抜針したが同一箇所を穿刺した、といった場合には過失が認められる場合がある。法的に見て意外と要注意であるのは、正中から穿刺する場合だ。正中神経損傷は過失が認められることがある。しかし、これは神経障害を訴える患者を診察した医師が、安易に正中神経損傷との診断書を作成することにも問題がある。CRPS(複合性局所疼痛症候群)との診断書しかりである。