綴喜医師会と懇談 3月11日 ウェブ会議 かかりつけ医機能は地域単位の運用で  PDF

 綴喜医師会との懇談会を3月11日にウェブで開催。地区から6人、協会から6人が出席した。綴喜医師会の安田美希生会長の司会で開会、「せっかくの機会であり、活発に意見交換したい」とあいさつした。協会の鈴木理事長からは、日頃の活動への謝意と、新型コロナの5類移行後の危惧を述べ、出席者からの活発な意見を求めた。
 新型コロナと医療提供体制では地区から、日本の専門医は各科、各分野に分かれており、かかりつけ医として一つにまとめるのは難しいのではないか。一人のかかりつけ医を決めるのではなく、地区医師会単位などで各科の医師が連携すれば、かかりつけ医機能を発揮できる。グループ診療で地域医療を支えることができるとの意見が出された。
 これに対し協会からは、欧州の家庭医の仕組みについて、立命館大学の松田亮三氏の講演を聞いた。イギリス、フランス、イタリア、ドイツなどは、家庭医として十分な役割を発揮しているかは疑問。日本の従来の制度はその役割を果たせていないとは言えず、開業医を中心に地域医療を担ってきた実績がある。産業医科大学の松田晋哉氏は、欧州と比べて日本の開業医は専門分野を極めている医師が多く、医療機器が充実しており、病院との連携も緊密であり、必ずしも医療体制が脆弱とは言えないと述べている。専門医の資格を持ちながら広く患者を診るのが今の開業医の姿。その専門性を活かし、患者が自由に選択できる。一人ではなく、複数で、地域で「面」として機能が発揮できるような体制が望ましい。街全体で総合医療機関の役割を果たし、情報連携することが肝要と応じた。
 続いて地区から、オンライン資格確認の義務化に関してマイナ保険証での保険者変更時の切り替えや、オンライン診療の運用(なし崩し的導入)を危惧する声が寄せられた。協会は、オンライン資格確認では、保険者切り替わり時に最短10日間のタイムラグが出ることを政府は認めており、その場合一時的に全額自己負担が基本とされていること。オンライン診療では、例えば訪問診療で看護師などが聴診器を当て、遠隔の医師が診断するオンライン聴診が導入されているとの情報があるが、大動脈弁狭窄症の治療が重要になっており、ある程度の件数をこなせる意味では価値があるとも言える。ガイドラインの見直しなど、必要なことは進めていかなければならない。オンライン診療で価値のあること、危険なことを峻別する必要はあると考えていると述べた。加えて、地区からの要望を受け、東京協会を中心とした資格確認義務不存在訴訟の経緯や争点を説明した。
 最後に同会の村上匡孝副会長より、素晴らしい資料で綴喜医師会会員に提供するなど活用したいとの謝意が述べられた。

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