医界寸評  PDF

 「音楽家」である坂本龍一氏の訃報が届いた。享年71歳。「戦場のメリークリスマス」など数多くの心に残る曲を私たちに残してくれた。また音楽だけでなく、さまざまな社会活動を通じて、戦争のない平和な世界を求めておられたのだと感じる。現在起きていることをしっかり見つめ、今日までの過去を振り返った上で未来を語る。私たちは、そういった人の一言一言が心に刺さる▼坂本龍一氏の死を通じて私は思う。私は今何を残すことができるのか。そして何を残さなければならないかを。社会を動かす、そういった大きなことではなくても、目の前にいる一人ひとりの患者にしっかりと向き合い治療をしていく。そして、今自分の持つ技術をこれからの医療を担う人たちに伝えていく。このことは今の自分にできることだ▼だがこれだけでいいのだろうか。私たち医師は患者の命、生活を守ることを責務としている。であれば、目の前の患者をしっかりと治していくだけでなく、やはり戦争のない平和な社会を目指す。そういった取り組みもしっかり行っていかなければならないのではないか▼今の京都府、京都市、国の政治。現在をしっかり見つめているか。これまでの過去を振り返り総括しているか。そして未来を語っているだろうか。ただ前のめりに未来だけを語っていないだろうか?(治)

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