2022年度審査支払基金の審査に関するアンケート コンピュータチェック拡大で 画一的審査を懸念 回答  PDF

実施期間=2022年8月1日~8月31日
対  象=会員医療機関1875(診療所1720、病院155)
方  法=アンケート紙(OCR用紙)方式・ウェブ回答方式併用
有効回答数・率=375(20%)(診療所:321(19%)、病院:54(35%))
回答者の割合=診療所86%、病院14%
調査結果はこちら https://x.gd/uWwQG

 協会が1973年より2年に一度実施している、審査支払基金(基金・国保)の審査に関するアンケートの2022年度の結果がまとまった。22年度より調査結果の冊子での配布は行わないため、以下に診療所編の概要を掲載する。病院編を含む調査結果の全容と図表は、右記のQRコード・URLからご覧いただきたい。

 回答者の診療科目は「内科系」が41%であった。
 この1年間の審査について「満足」「ある程度満足」は、基金42%、国保42%。不満の理由は「審査基準の不明確さ」「医学的判断、見解の相違」が基金・国保ともに多かった。
 この1年間の減点経験が「ある」と回答したのは基金で89%、国保で85%。その理由は「病名漏れ」(同74%、76%)が最も多い。減点の納得度は「できる場合とできない場合が半分半分」(同46%、44%)が最も多い。減点に納得できない理由は「明らかな病名漏れは返戻してほしいから」(同50%、49%)が最も多い。減点の頻度は基金・国保ともに「変わらない」(同59%、59%)が最も多い。査定額の割合は「0・2%以下」(同49%、48%)が最も多かった。
 この1年間に返戻が「ある」と回答したのは基金92%、国保91%。内容は、「被保険者資格に関するもの」(同82%、80%)が最も多かった。返戻に対して「請求内容に不備があり、肯定的に受け止めている場合が多い」(同54%、54%)が最も多かった。また、減点・返戻に対しては「その都度検討」が69%となっている。
 この1年間の再審査請求の経験が「ある」と回答したのは基金・国保とも40%。結果に対して、「納得できる場合が多い」は同29%、31%だった。再審査請求について改善すべき点が「ある」との回答は同68%、73%で、改善すべき点は「原審通りとする場合、理由を詳細に文書で通知すべき」が同74%、67%で最も多かった。
 この1年間に審査委員会からの連絡(注意)、および懇談を受けたことがあるのは基金4%、国保4%。結果については、「納得できた」が基金86%、国保77%であった。
 いわゆる審査基準について、回答者の7割が、「すべて公開すべき」または「公開の部分を拡大すべき」と回答した。
 審査委員会に期待することは、「患者の個別性を重視し、医師の裁量を尊重した審査を期待する」が65%で最も多かった(図1)。
 審査におけるコンピュータチェックの拡大によって、機械的な減点・返戻が増えていることに対して、回答者の6割が「機械的・画一的な審査となっていて、医学的妥当性が尊重されていないと感じる」と考えている(図2)。
 レセプト摘要欄の記載について、表(別表Ⅰ)に定められたレセプト電算処理システム用コードの選択が求められることについて、45%が「選択や入力が非常に面倒」、36%が「実施日の記載など算定日情報で判断できる項目は削除すべき」と考えている(図3)。
 個別意見では、「審査する側の手間を省くために、医療機関側の手間が増えている」との意見が寄せられ、その通りの状況になっていることに強い危惧を覚える。
 減点・返戻・再審査請求で納得できなかった事例、従来は認められていたのに減点されるようになった事例、再審査請求の結果復活した事例(自由記述)では、「検査・画像に関するもの」「投薬に関するもの」が多かった。
 審査全般に関する意見・要望(自由記述)では、「病名漏れによる減点について」「医学的妥当性に基づいた審査のあり方について」「減点・返戻理由の明確化について」に関するものが多かった。
 自由記述の具体的内容については調査結果をご参照いただき、同様にお困りの事例があればいつでも協会までご相談いただきたい。
 保険診療の充実において、審査支払機関の果たすべき役割は非常に重要である。協会は今回の結果を基に、より良い審査の実現のために取り組んでいきたい。会員各位には、調査のご協力に感謝申し上げる。

図1 審査委員会に期待すること(複数回答)
図2 審査のコンピュータチェック化
図3 レセプト電算処理システム用コードの選択

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