WBC(ワールドベースボールクラシック)に日本中が沸いている。侍ジャパンは期待に応え、4戦全勝でプールBを突破した。ベテラン、若手、投打の連携が見事にかみ合った快進撃である▼我々医療の世界においても、連携の大切さはことあるごとに強調されている。多職種連携の大切さは身をもって感じているが、個々のケースにおいてはまだまだ首をかしげざるを得ない事態に遭遇する▼最近経験した一例。ある日、一通のFAXが届いた。地域の病院の医療連携室から患者の診療を依頼するもの。既製の送信用紙に主治医からの情報提供書が添付されていた。当院受診歴はなく、文面からは在宅医療を依頼するものと読み取れたが、内服処方以外のデータは皆無。どう動けば良いのか悩んでしまった。数日待ったが続報はなく、ご家族からも何の連絡もない。住宅地図で患者宅の位置を確かめ、電話を入れて取りあえず往診してみた。患者の状態は落ち着いていてホッと一息。ご家族曰く「病院からは、まあ来てもらえるまで1カ月くらいかかるだろうからと言われていたのに、こんなに早く」。同行した看護師と顔を見合わせて苦笑い…▼IT全盛の世の中といえど、「人間同士のお付き合いが医療の根幹では」などと呟くのは、化石の域に踏み込んでいる証なのだろうか?(呑鉄童)
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