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新型コロナ5類移行へ 医療体制の充実が必須
岸田政権は2023年5月8日からの新型コロナウイルス感染症の5類移行を決定した。第8波における全国の死亡者数が第7波を上回る中、5類移行が医療体制縮小につながりかねないことが懸念される。
第7波・8波は死亡者激増
オミクロン株が猛威を振るった第7波(22年6月15日~11月30日※)のコロナ死亡者数は、全国で1万8625人、京都府では437人にのぼる。第8波(22年12月1日~23年2月11日)は全国で2万914人、府が420人と、第8波の死亡者数は第7波を遥かに上回る(グラフ①)。累積コロナ死亡者数は全国で6万9945人と約3割が直近2カ月程で亡くなっている。
府の感染状況を見ると、第7波以降の新規陽性者数の増加の勢いの凄まじさが分かる。一方で高度重症病床使用数は低位であり、オミクロン株は伝播性が非常に高い一方、重症度が低いという専門家の見解を裏付けるものといえる(グラフ②)。第8波では死亡者数がゼロであった日は1日もない。重症化する人は少ないが死亡者は減っていない現状は注視する必要がある。
医療へのアクセス保障が焦点
コロナでの死亡者は、必要な医療を受けてなお亡くなったのか、そもそも医療にかかれなかったのか。コロナを巡る医療問題で焦点とすべきは「医療へのアクセス保障」がどうであったかという点だ。
京都府知事は22年12月15日、第7波の死亡者437人のうち高齢者施設での死亡者は92人であると明らかにした。これは全体の21%を占める。しかし、協会による二度の調査で、入所施設での死亡者の大多数が入院できなかったと回答している。入院だけでなく発熱外来もひっ迫し、検査や医師の確定診断さえ受けられない事態が蔓延していた。
国の示す5類移行とは
国の厚生科学審議会感染症部会(1月27日)はコロナの感染症法上の位置づけ変更について、オミクロン株による重症度の低下はあるものの、高い伝播性による感染者増加で医療提供体制の負荷と死亡者の増加を指摘する。一方で、行動制限などの強制的手段を最小化するために、コロナを対象から速やかに外すべきと述べている。
今後の医療提供体制として、インフルエンザと同様に幅広い医療機関でのコロナ患者の対応、行政による入院調整から個々の医療機関での入院調整への移行を示している。また、感染症法に基づく発生届を終了し、定点医療機関による感染動向把握への移行も挙げている。
全医療機関でのコロナ受け入れは実現するか
5類移行によってコロナが収束するわけではない。5類移行で正確な感染状況が不明になり、外来も入院も受け入れ困難が続き、気づかない間にコロナ死亡者が増加していくことは避けなければならない。
今、国や地方自治体に求められているのは確実に医療を保障する体制づくりである。コロナ対応について、協会と地区医師会との懇談会で、一般診療所の空間的、時間的な動線の確保の難しさから、公的な発熱外来の設置を求める会員の声が多くあった。外来ひっ迫、福祉施設での留め置き死は、国の病床・医師数抑制と公衆衛生縮小政策が根本的要因である。全ての患者を医療に確実につなげるためには、これまでの総括・検討が必要だ。国は5類移行に向け、3月上旬までにロードマップを示すとしている。国や自治体の具体的な方針に注目したい。
※京都府発表(12月15日)で示された期間
グラフ① 全国のコロナ死亡者数(人)
※厚労省「データからわかる 新型コロナウイルス感染症情報」をもとに協会作成
グラフ② 京都府のコロナ新規陽性者数・死亡者数・高度重症病床使用数
※京都府「新型コロナウイルス感染症の府内検査状況等について」をもとに協会作成