第184回定時代議員会 決議  PDF

第184回定時代議員会 決議

国の進めてきた新自由主義構造改革によって地方自治体の力が奪われてきたなかで、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故が起き、いまだ十分な復興ができていない。これまでの構造改革の見えなかった矛盾が明らかになったにもかかわらず、国はこれを機にさらにこの路線を推し進めようとしている。

消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革では社会保障の概念を「自助」「共助」「公助」とし、医療・介護に関する保険給付範囲を「適正化」と称し、公的責任を後退させようとしている。さらに、社会保障制度改革推進法には「国民皆保険制度を守る」を「原則としてすべての国民が加入する仕組み」と改悪している。また、環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加しようとしているが、このことは、混合診療の導入や営利企業の参入などによって国民皆保険制度を壊し地域医療の崩壊をまねく。さらに、我々がTPPで懸念していたISD条項が韓米FTAで実際に発動された。

こういったなか、総選挙が行われたが、今後も自公の連立政権に第三極や民主党が加わるという体制で、今以上のスピードで新自由主義構造改革路線が進められかねない。また安倍政権は、領土問題にからめ、国防軍化等の憲法第9条に関わる政策も打ち出している。

このような情勢のなかで、私たち保険医が担うべき役割は、すべての国民の健康と命、そして生活を守るべく、国民とともにさまざまな運動にかかわり、国への対案を提示し、京都府保険医協会が示してきた社会保障基本法・憲章のもと憲法第25条に命を吹き込み、この理念に基づいて真の福祉国家をつくりあげていくことである。その実現に向けて以下を国に求めることを決議する。

一、地域医療を担う開業医の役割を再認識し、国民が安全・安心な医療を受けられる医療体系を確立すること。

一、京都府保険医協会の示す社会保障基本法・憲章をもとに、憲法第25条の理念を具体化するために、社会保障と税の一体改革を撤回し、公的責任で社会保障を充実させ、患者負担減を行うこと。

一、地域医療の崩壊をまねき、国民の生活をさらに困難にする消費税増税は中止すること。

一、国民皆保険制度を脅かすTPPには、参加しないこと。

一、震災被災国民の生活再建を早急に国の責任で行うこと。

一、原発を即時停止し、廃炉に向けて核廃棄物の最終処理に関わる政策も含め工程を明らかにするとともに、再生可能エネルギー中心の政策を示すこと。

一、憲法第9条の理念に基づき、平和のもとに国民の命と生活を守ること。

2013年1月31日
京都府保険医協会
第184回定時代議員会

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