社保研レポート コロナパンデミックに備え体制整備とワクチン接種を  PDF

第672回社会保険研究会
講師:大阪大学大学院 医学系研究科感染制御学 
教授 忽那 賢志?氏

 協会は、第672回社会保険研究会を9月24日に、ウェブ併用のハイブリッド形式で開催。参加者は93人(会場10人・ウェブ83人)。大阪大学大学院医学系研究科感染制御学教授の忽那賢志氏が「COVID-19のこれまでとこれから」をテーマに講演した。
 忽那氏はまず、世界のさまざまな感染症の歴史や感染の仕方等を説明。新興・再興感染症の増化は偶然ではなく、人の暮らしが豊かになっていく中で、人流・物流が活発になり、それに伴い必然的に出現してきたと指摘。新興・再興感染症はこれからも現れるので、次のパンデミックに備えた人材育成・研究体制整備が必要と述べた。
 コロナウイルスの感染経路は大きく三つあり、接触感染、飛沫感染、エアロゾル感染がある。その中でも、接触感染の間接的(他の人が触った物を触る)なものは感染リスクが低く、手洗いをしっかりしていれば問題ないとした。オミクロン株の亜系統BA・5を主流とする第7波はピークを超えた様子だが、学校再開による再増加に注意が必要と述べた。
 オミクロン株対応ワクチンは、オミクロン株のスパイク蛋白と野生株のスパイク蛋白の両方の免疫を作る。中和抗体の量は感染予防効果と関係があり、従来のワクチンよりもオミクロン株に対応したワクチンの方が多くなるとされている。このことから、オミクロン株対応ワクチンを打った方が効果が期待できるとした。ちなみに国立感染症研究所のデータによると、発症して8日目、療養解除となる人のうち16%が、感染性があるとされているので、注意が必要と述べた。
 最後に「効果的かつ負担の少ない医療・介護場面における感染対策」について、環境からの感染はそれほど多くないことから、患者に触れない場合は手袋とガウンは必須ではないことなどを述べ、講演を終えた。
 講演終了後は活発な質疑応答が行われた。当日の模様は協会ホームページ内「臨床・保険診療TV」にて動画を公開している。是非ご覧いただきたい(ホームページへのログイン方法は本紙1面の下部欄外をご確認下さい)。

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