堅調な株式市場を背景に保有株の配当金や投資信託の分配金が伸び、最高益を更新する会社が目立った。円安で収益が押し上げられた面は否めない。米欧が金融引き締めに動く中、市場の急変動によるリスクを適切に管理できるか。また最高益を更新するなど高い利益を上げているが、底流にある厳しい市場環境は今後も続くとされており、運用の主軸を担う日本国債は長引く金融緩和により低位に抑えられている。為替や金利、株式などリスクヘッジの多様化でより健全性を意識した運用が求められる。営業活動の場面では、対面によるニーズの掘り起こしという従来型の手法と、オンラインによる商品説明や契約手続きの組み合わせで顧客との接点を確保し、今期の新契約年換算保険料は緩やかな回復を見込んでいる。2025年に適用が始まる新しい資本規制を控え、更なる財務の健全性に配慮した運営が求められる。
このような中、各社は生命保険の特性を踏まえ、安全かつ有利の原則に従い、将来にわたり高水準の運用収益を確保することを資産運用の基本としている。そのため過大な損失の発生を防止するためのリスク管理体制の整備を行うなど、各社は資産運用の強化と健全性に向けた取り組みを行っている。
大樹生命保険株式会社 明治安田生命保険相互会社 富国生命保険相互会社
基礎利益 449億円(320億円) 6,019億円(5,502億円) 858億億円(843億円)
実質純資産額 1兆1,030億円(1兆3,314億円) 9兆9,008億円(10兆6,847億円) 1兆8,871億円(1兆9,492億円)
ソルベンシー・マージン比率※2 980.8%(1,175.2%) 1,061.6%(1,069.1%) 1,234.2%(1,261.6%)
格付け(S&P) A A+ A
日本生命保険相互会社 太陽生命保険株式会社 第一生命保険株式会社
基礎利益 7,966億円(6,565億円) 551億円(527億円) 4,964億円(4,805億円)
実質純資産額 19兆1,156億円(20兆2,785億円) 8,520億円(1兆1,542億円) 8兆3,555億円(9兆6,470億円)
ソルベンシー・マージン比率※2 1,059.7%(1,007.5%) 734.2%(852.8%) 907.3%(937.2%)
格付け(S&P) A+ A A+