コロナ禍や異常気象の中、政界と選挙にまつわる問題、理解不能な戦争や殺傷事件、人間関係など、ストレスで息が詰まることが多い毎日が続いている。お酒と音楽を求めて夜な夜な徘徊するのが僕のストレス発散だったが、それもままならない昨今である▼そんな中、「五山の送り火」の3日前、気分転換にと妻に誘われて大文字山(如意ヶ嶽、474m)に登った。松尾山(276m)でもヒイヒイハアハアだったが、案の定それ以上だった。たくさん追い抜かれた(明らかに年上の人にも)。ご褒美は「すれ違う人とのあいさつ」と「火床からの景色」だった▼「1/fのゆらぎ」というのをご存じだろうか。自然界に仕込まれた心地よさを感じさせる要素らしい。「ピンクノイズ」とも呼ばれ、規則性と突発性、予測性と逸脱性が適度に組み合わさったゆらぎで、居心地の良い空間と情報を与え、人の心を落ち着かせるといわれている。たき火やろうそくの炎、小川のせせらぎ、木々のそよぐ音、蛍の光り方など自然現象の中で見出される。扇風機にもその設定を発見した▼余白の美というか、ハンドルに「遊び」があるように人生にも「遊び」が必要で、時間を忘れることができるひとときが必要不可欠である。火野正平のBS「こころ旅」は僕にとっての「1/fのゆらぎ」なのか、心が穏やかになるのである。(励無)
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