協会は5月21日、2021年度第2回コミュニケーション委員会をウェブで開催。地区委員18人、協会から9人が出席した。「2022年度診療報酬改定を経て」をテーマに意見交換。新設された外来感染対策向上加算等の施設基準に関する意見などが出された。
開会に際し鈴木理事長は「今回の診療報酬改定は、医療提供体制改変の一部の現れだ。財務省は、財政健全化として、中医協での議論が不十分なままリフィル処方箋を導入してきた。急性期病床削減に関しては、地域医療構想として診療報酬改定で推し進めようとしており、協会は厚生労働省や各委員に問題点を指摘し、要請を行っている。各地区医師会でのご意見などを寄せていただき、活発に議論したい」とあいさつした。
今回の改定で、診療所において平時からの感染防止対策、地域の医療機関等が連携して実施する感染症対策を推進する観点から、外来感染対策向上加算(6点)が新設された。しかし、問題となっているのが施設基準である。地区からは「施設基準として、院内感染対策に関するカンファレンスに年2回程度の参加が要件の一つとなっているが、病院で行われるカンファレンスは開業医が参加できない時間帯に行われており参加できない」「病診連携のカンファレンス体制が4月20日までに構築できなかった。病院の体制が構築できるまで届出を取り消した」ことなどが報告された。
協会からは「カンファレンスに関して、現時点で開催していなくても、2023年4月までに実施できる予定があれば届出は可能だ」と回答した。その他にも地区から「一部の診療科(眼科等)の診療所の場合、発熱で受診されても診ることができず、発熱外来を設置することができない。メジャーな診療科と差異を感じ、不合理ではないか」との意見も出された。
リフィル処方箋
積極的な発行しない
外来感染対策向上加算と並んで、話題になったのがリフィル処方箋。一定期間内に処方箋を反復使用する仕組みだが、地区からは「リフィル処方箋を発行すると、薬局の薬剤師が患者に服薬指導を行い、容態が変わらなければ投薬が続く。薬剤師の顔がわかる関係であれば良いが、大手薬局などで容態が変わっても報告がなかった場合に、それも医師の責任となると、簡単に発行できない」との意見が出された。
協会からは「リフィル処方箋の発行は、医師の判断が前提となる。医師がリフィル処方箋を出さないと判断したのなら全く問題ない。責任の所在が医師にあることは間違いない。リスクをよく考えて対応してほしい」と回答した。
今回の改定では、外来感染対策向上加算をはじめとする多くの点数(加算)が新設されたが、診療所にはハードルが高く、算定できないものが多いことが露呈した。協会は「今日出された問題点、不合理点は厚生労働省に意見・要望していく。協会の理事会や部会でも議論し、方針を出していきたい」と述べた。