2022年度診療報酬改定が実施された。
医療は診療報酬改定ごとに誘導されていく。今回、かかりつけ医機能と包括化、オンライン診療、病院との連携での感染症対策―に目が行った。
一方、医療費抑制のため、人頭割包括払いでのかかりつけ医制度が目論まれている。好むと好まざるにかかわらず、かかりつけ医の医療は必ずあてがわれる。しかし希望の医療機関や高次医療機関への受診は制御される。
かかりつけ医によるオンライン診療で、医療機関との距離は不問となり、移動不能な在宅者や、移動手段あるいは移動時間がない患者も受診できる。無医地区や医療過疎、在宅医不足、専門医や高度医療機関の偏在、等の解消に国は努力する必要がなくなる(IT弱者の問題は残るが)。提供される医療の質は考慮されない。
包括払いでは、ゲートキーパーは毎月決められた回数の診療「健康観察」で患者を投薬等で管理する。診療は、問診と身体所見のみで十分とされる。「健康観察」なので検査は無用となる。医師はまるで処方権が与えられた薬剤師である。
生活習慣病管理料同様、経過観察の検査のために包括料に差がつくかもしれない。ゲートキーパーは、検体測定室のある薬局より、やや高度な機能を保有するだけである。
病状悪化時、地域包括診療料や生活習慣病管理料同様、検査処置種類や金額の制限、あるいは回数制限を付けられた診療はできるが、それ以上はゲートキーパーとして高次医療機関への紹介となる。
紹介先の高次医療機関は連携加算等で指導管理を受ける病院である。医療機関の系列化が進む。いずれ地域医療連携推進法人制度に組み込まれるであろう。
患者個人や生活環境、あるいは周辺の医療提供体制に応じたきめ細やかな診療で健康日本を築き上げてきた開業医制度(フリーアクセス、出来高払い、自由開業)は崩壊する。
高次医療機関への紹介は重症化してからで、個別の医療費はかさむであろう。健康寿命、平均寿命が短縮され、結果国の医療費は減少するかもしれない。
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