あからさまな医療費抑制策のリフィル処方
内科 顧問 関 浩
初診料、再診料、外来診療料、外来管理加算が据え置かれ、前三者に「情報通信機器を用いた場合」の点数が新設された(要届出)。機能強化加算は、地域包括診療料・加算2や在宅時医学総合管理料(強化型以外の支援診)で届け出る場合に実績が必要となった。地域包括診療料・加算は対象疾患に慢性心不全および慢性腎臓病(透析患者以外)が追加された。特定疾患療養管理料をはじめとする医学管理等の点数においては「情報通信機器を用いた場合」の点数が大幅に引き上げられたり、新たに設けられたりした。生活習慣病管理料は投薬の費用が包括範囲から除外された。
検査では、鼻腔・咽頭ぬぐい液採取が20点引き上げられた。細菌顕微鏡検査「3 その他のもの」や細菌培養同定検査の「6 簡易培養」以外の点数、細菌薬剤感受性検査「1~3」も点数が引き上げれられている。
注射においては皮内・皮下および筋肉内注射(2点)、静脈注射および乳幼児加算(2点、3点)、点滴注射もそれぞれ1~2点引き上げられた。
リフィル処方については入院外(全体)(本紙第3118号参照)で解説したが、狙いは安定した慢性疾患を有する患者の“お薬受診”を減らすことであり、窓口負担の軽減であり、「医療費の抑制」が目的である。この導入で診療報酬の0・1%、総額で約270億円の減少が見込めるとされる。医療機関には減収だが、薬局の調剤基本料と薬剤管理料は調剤を行う都度、報酬は支払われる。
薬局では服薬状況の確認を行うだけではなく、不適切と判断した場合は、受診勧奨を行うとともに、処方した医師に速やかに情報提供を行うこととなっている。
調剤が「適切か不適切か」の判断は医学的判断が伴うものであり、医師の役割の一部を薬局が担うことになる。また、問題があれば薬局からの問い合わせが、診療中であっても頻回、煩雑なものにならないかと案じられる。
根本的課題の改善なされず
在宅医療理事 吉河 正人
在宅医療については、前回と同様根本的な問題についての改善が全くなされないままとなった。
協会が機会あるごとに改善を求めている在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料の「単一建物診療患者」の数による不当な点数設定は議論さえなされないまま終わった。在宅医療の推進を謳いながら、現場の声に耳を傾けようとしない姿勢への憤りを消すことなく、粘り強く要求を続けていきたい。
外来診療と歩調を合わせ、在宅医療においても「情報通信機器を用いた診療を行った場合」の点数が前出の管理料において新設された。今までから複雑怪奇とも言える在医総管、施設総管の算定一覧表にまたまたコマ数が増え、目がチカチカするばかり。
「月2回訪問診療をした後に、情報通信機器を用いて診療した場合」や「訪問診療を月1回行った後、ひと月あけて翌々月に情報通信機器を用いた診療を行った場合」に、管理料算定は表のどこに当てはめれば良いのか…等々疑義が続出している。算定の煩雑さは増す一方である。
在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院については、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の内容を踏まえた適切な意思決定支援に関する指針を定めるという施設基準の追加がなされ、機能強化型支援診、支援病の施設基準締め付けと併せ、全ての支援診、支援病が届け出のやり直しを強いられることとなった(22年9月30日まで経過措置あり)。
増点はハードルの高い加算で設定されていて、医療費抑制の流れはここにも現れている。
一方、緊急往診加算の対象に「小児の低体温、けいれん、意識障害、急性呼吸不全等が予想される場合」が追加されたり、在宅がん医療総合診療料に「小児加算」が新設される等少子化の世相を反映した改善として評価できるものも見られる。外来在宅共同指導料の新設、間歇スキャン式持続血糖測定器の要件緩和、血中ケトン体自己測定器加算の新設も評価されよう。
まだまだ不充分な改定内容であるが、より良い在宅チームを構成し、モチベーションを下げることなく地道に歩もう。