主張 コロナ禍での生きづらさ 自殺防ぐための実態調査を  PDF

 コロナ禍は雇用、労働、営業といった生活の基礎自体を揺るがしている。就業者数の減少も著しく、総労働時間や現金給与総額も減少し、とりわけ非正規雇用労働者への影響は凄まじい。京都府が発表した2021年の府内の自殺者数が前年比20人増で2年連続増加した。新型コロナウイルス流行による孤独・孤立問題が背景にあると言われているが、もう少し細かく分析する必要があるのではないか。
 ごく身近な人でも数人、コロナワクチンによる副反応で重症化したり苦しんでいる人がいる。ある事例では、高熱が続き独りで不安な夜を過ごし、平熱に戻っても胃痛、不眠が続いて食事がほとんど摂れず、1カ月で3キロも?せてしまったとのこと。この方は、若い頃リストカットをしたことがあるらしく、自分で判断し心療内科を受診しようとしたらしい。心療内科が完全予約制ということもあってか、この時期だからなのか、なかなか予約が取れなかったが、何とか診察を受けることができた。カウンセリングが主だったものの胃薬を処方され、今でも食欲はないが少しずつ落ち着いてきている状況だ。
 その一方で病気や体質でワクチンを打てない人もいる。ワクチン接種を! 接種証明を! と叫ばれる中、自分自身の身体も心配だがそれよりも周りから厳しい目を向けられていると感じ、肩身の狭い思いをしながら家にこもり切りでいる人もいる。
 職場や家族などで気付いてくれる人がいればよいが、そうでなければどうすれば救えるのか。
 全国における自殺者数において男性が11年連続の減少に対し、女性の自殺者が増加している。21年7月段階で、子どもたち(小中学生・高校生)の自殺も過去最多であった前年同月を上回っている。コロナ禍は医療問題にとどまらず、複合的な形で地域・社会に立ち現れている。一方、その結果としての自殺者増は医療の役割と密接不可分である。国・地方自治体が住民のあらゆる困難を把握し、対応する力を取り戻すことが必要である。京都府においても、まずは電話相談窓口を24時間に変更するとしているが、中高年はなかなか自分から訴えてこないのが現状である。住民により密接に関係する地方自治体において、もう少しきめ細かく調査し、実態を把握すべきである。

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