新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応されてきた全ての医療従事者に敬意を表明する。十分とは言い難い政策の中、これまで海外と比して感染者数・死亡者数を抑え込めているのは医療従事者と国民の弛まぬ努力の賜物である。
過去最大の医療逼迫を引き起こした第5波が収束したのも束の間、新種株による第6波が襲来し、第5波を上回る感染拡大をみせている。
政府は第6波に備え病床・宿泊療養施設を増床させるとしているが、すでに検査体制および保健所の健康管理体制は滞っており、再び医療提供体制の逼迫が起きないか予断を許さない状況である。
コロナ感染症に対する経口薬の開発が進み、医療機関への供給が進めば医療逼迫につながる重症患者の発生を抑え込む見込みが立つ。
しかし一方で、事実上の医療機関の減収を補填してきた各種コロナ関連の補助金は不十分である。
加えて今秋には後期高齢者の一部負担金の2割化の実施もあり、受診控えは改善されず、国民の健康維持が不安視される。コロナという国難を乗り切った後にも、国民医療と医療機関の経営は厳しい状況が続くことになる。
今年度はインフルエンザワクチンの供給量・時期も問題となったが、今後も新型コロナウイルスワクチンの3回目接種、小児への接種適応の拡大、国産ワクチンの開発等によるワクチンの種類の増加等、更なる混乱が危惧される。
オンライン資格確認・ジェネリック医薬品の供給問題等、我々は数々の問題を抱えながら日々の診療を継続していかなければならない。
国民の安心・安全な生活を守る国民皆保険制度・医療機関を堅持するため、以下を決議する。
一、いかなる感染拡大にも耐え得る検査体制および自宅での健康管理を含む医療提供体制を拡充させること。
一、新興感染症等に対応できる医療体制を構築するための診療報酬改定とすること。
一、後期高齢者の一部負担金の2割化の実施の撤廃等、新型コロナウイルス感染症の収束後も現在の医療体制を維持すること。
一、国民・医療機関が混乱を来さないように、各種ワクチンの正確な情報提供と安定的な供給を確保すること。
一、オンライン資格確認・ジェネリック医薬品の供給不足について、国民に広くわかりやすく説明し、対策を示すこと。
2022年1月27日
京都府保険医協会
第202回定時代議員会