2・26事件が起こったのは昭和11年、86年前のちょうど今頃である。弱肉強食の価値観がまかり通る時代でのクーデター未遂事件。その後突き進んだ大戦で多くのものが失われた。戦後はみな経済的な豊かさを求め、個を犠牲にして経済成長に向け集団でひた走った。そんな昭和は遠くなり、社会は時代とともに集団より個を重要視するようになる▼価値観の多様化に伴いお互いの価値観を尊重し、かつ社会貢献もしっかり考える。自分の個性を大切にしながら穏やかな結びつきを築く。そんな変化が近年、若者を中心に起こりつつある▼今、冬季オリンピック・パラリンピックが開催されている。五輪の標語「より速く」「より高く」「より強く」に、「より美しく」「より人間らしく」を加えようと提唱したのは金メダリストであり哲学者でもあるドイツ人のハンス・レンク。「より美しく」とは「より優しく」ということ。強さに加え、他者に対する思いやりを持とうというのだ▼新型コロナウイルスはいまだ蔓延し、社会はバラバラに解体されたように見える。しかし今は制圧への過程であり、むしろ個々のセンスや能力がのびのび発揮できる新しい時代が訪れる流れの中にあると言うこともできる。北野天満宮の梅も今が見頃。すべては人類がより美しく進化してゆく途中経過であると信じたい。（clear）