協会会員アンケート ジェネリック医薬品の供給不足の影響について  PDF

調査対象=ファクス番号登録のある会員医療機関1583
調査期間=21年11月10日~11月24日
調査方法=ファクスおよびウェブによるアンケート方式
回答数=428(回答率27%)

多数の医療機関で診療に支障出る
背景の後発品推進政策に疑問符

 協会は11月、ファクス番号登録のある会員医療機関を対象として「ジェネリック医薬品の供給不足の影響について」のアンケート調査を実施した。それに先立つ9月代議員月例アンケートにおいて「ジェネリック医薬品の供給不足の影響について」を調査したところ、院外処方・院内処方を問わず、ほとんどの医療機関において診療に影響が出ているとの回答が寄せられた(協会ホームページにて結果速報を掲載)。それを受けて、より広く実態を調査してさらなる改善につなげたいと考えて、会員アンケートとして実施したもの。
 以下、結果の概要について報告する。

 問1では、院内処方・院外処方の別を聞いた(図1)。おおむね割合は半分半分であった。
 問2では、主に院内処方の医療機関に対して、納入がなくなった・減った医薬品はあるかどうかを聞いた(図2)。「ある」が89%、「ない」が10%で、9割の医療機関で供給不足が起こっていた。
 問3では、主に院外処方の医療機関に対して、薬局より在庫がない・少ないため調剤できない等と言われた医薬品はあるかどうかを聞いた(図3)。「ある」が80%、「ない」が18%で、多くの医療機関で予定通りの処方が行えなくなっていた。
 供給不足に陥っている具体的な医薬品名についても聞いたが、非常に多数の医薬品が挙げられており、ここでは省略する(協会ホームページに医薬品名(一部抜粋)を記載した結果の概要を掲載しているので参照されたい)。「いくつもある」「10種類」「精神科薬剤全般」「ACE阻害薬全て」「骨粗しょう薬を中心に多数」「記載した他に80品目」「27品目が入荷不能または、納期未定」といった回答も多く、特定の医薬品だけが不足している状況ではなくなっている。
 問4では、供給不足への対応でどのような影響が出ているか聞いた(図4)。「同効の他薬剤への切り替えに手間がかかる」が78%で多くの医療機関に共通して影響が及んでいる内容となった。続いて「先発医薬品になり患者負担が増加した」が44%で、患者負担増の影響も半分近くの医療機関に及んでいる。続く「休薬せざるを得なくなった」は38%に達しており、療養の給付自体が行えない事態も少なくない割合で生じている。その他、他剤に切り替えたが「これまでと同じ効果が得られなかった」(14%)「服用回数等の変更があり、飲み間違いが起こった」(3%)といったことも起こっている。また、その他として具体例の回答も多く寄せられている。(表1)
 問5では、この一連の問題に対して国・厚生労働省が取るべき対応を聞いた(図5)。「後発医薬品の品質管理や安定供給に対する規制の強化」が78%、「単にメーカーの問題とせず、後発医薬品の使用促進の見直しを含めた議論」が64%で多数であり、問題の発端となったメーカーをはじめとする業界への規制を基本としながらも、同時に問題の背景としての後発医薬品推進政策の見直しが必要との声は大きいと言わざるを得ない。その他の具体例の中では、後発医薬品の薬価が低すぎるのではないかとの意見が多数寄せられた。(表2)
 国・厚労省に対しては「後発医薬品の使用促進を訴えるならしっかり責任をもって管理を。人の命にかかわることとの自覚を持ってほしい」との意見もあったが、まったくその通りである。それができないなら後発医薬品を推進すべきでないし、メーカーの監督を強化するだけではなく、問題の背景としてのこれまでの政策の見直し・再点検こそまず手を付けるべきではないだろうか。協会としては引き続き要望等行っていきたい。

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