協会などでつくる「子ども医療京都ネット」が、京都市の子育て世帯を対象に行った「子ども医療助成制度についてのアンケート」結果を12月5日の学習会で発表した。(図)
その内容は、①府内で京都市だけが3歳から通院負担が高いことは、5割以上の方が初めて知った②2019年9月に負担額が月3000円から1500円に引き下げられたが、「まだ高いのでためらうこともある」が3割を超え、12%が実際に受診をためらって症状悪化したことがある③京都市が小学生の虫歯治療を助成する「学童う歯」の見直しについては、「子ども医療でカバーするなら廃止も構わない」が38%ある一方で、「学童う歯を残してほしい」が57%と上回った。これは子ども医療が拡充する保障がない中で制度後退をきらったためと思われる④6割以上が年齢拡大よりも現制度の中で負担軽減を願っている―などだ。
自由意見では京都府・京都市に対する多数の訴えが記載されている。中でも子育て期のサービス充実で住民を呼び込んだ明石市の例が書かれているが、京都市は財政難を理由に全く逆のことをやっており、子育て世代がますます流出してしまうことが懸念される。
アンケートは、10月~11月にかけて京都市の保育所や小児科診療所の協力で約2500枚を配布し、インターネット集計などにより343通を集約した。
負担は困窮世帯ほど医療から遠ざける
学習会では武内一氏(佛教大学教授)が「子どもの貧困とコロナ禍での子どもたち」を講演。子どもの死亡順位の1位が2020年は10~14歳、15~19歳いずれも「自殺」であり、パンデミックの影響で大きなストレスがかかっている。それは社会的経済的困難下にある子どもたちほど強いことを調査結果をもとに説明。
そして、医療費負担があることは、それが低額であっても生活困難世帯ほど医療から遠ざけてしまう。社会全体で考えないといけない問題だと指摘した。
府に要請
アンケート結果を踏まえてネットは、12月22日に京都府に要請書を提出し、担当課と懇談。要請では、通院負担の月1500円を引き下げるよう、特に就学前までは早急に改善してほしいと強調した。要請を受けて府の担当者は、現状でよいとは思っておらず、どういうことができるかを考えており、市町村と協議しながら検討していきたいとした。京都市に対しても要請を調整中。