協会は10月23日、2021年度第1回コミュニケーション委員会をウェブで開催。地区委員18人、協会から10人が出席した。「新型コロナウイルスを取り巻く諸課題と今後の医療提供体制」「2022年度診療報酬改定―コロナでどうなる中医協での議論」をテーマに意見交換し、第6波に備えた医療提供体制の構築を求める意見などが出された。
開会に際し鈴木理事長は「第5波が収束傾向にあるが、第6波に備えた医療体制の構築が必要。コロナ禍での医療体制の逼迫は、病院の機能分化を進めていく中で起こった。それでも政府は機能分化を推し進めようとしている。今冬は季節性インフルエンザとの同時流行が懸念され、しっかりとしたワクチン供給を政府に求めていく」とあいさつした。
新型コロナワクチンの接種状況が各地区から報告され、地区からは「個別接種に関して、接種者を6人揃えるのが大変」とし、その原因として「接種者の無断キャンセルがある。ネットや一部のマスコミ報道に影響されて直前でキャンセルされる。ワクチンに関する正しい情報の周知が必要だ」との意見が出された。
協会からは「6人揃わない場合は、集団接種に回ってもらうしかないのではないか。接種を迷っている人や職場・学校での差別などに対しても正しいワクチン情報を提供する必要がある」と回答した。
第6波の感染拡大が懸念される中、これまでの国や行政の対応は後手後手であった。第5波では感染しても入院できず、自宅療養中に死亡する事例が相次いだこともあり、地区からは「対策が感染のピークとずれていることが医療を逼迫させている。ブレイクスルー感染への対策も再構築が必要」「新型コロナも野戦病院型で対応すべきではないか。今のうちから設備や体制を確保しておくのが良いのではないか」との意見が出された。
協会からは「野戦病院型に関して、隔離はできるかもしれないが、十分な医療提供が難しいのではないか。軽症者や中等症でも増悪する可能性があり、既存の施設やホテルを活用して、しっかりとした医療提供ができる体制が重要」と回答した。
公衆衛生の拡充求める
新型コロナ感染者への対応を一手に担う地域の保健所も感染者急増で機能不全に陥った。保健所からの要請で自宅療養者の健康観察を求められた地区医師会もあり、「普段訪問診療を行っていても、自身の感染(医療機関の休診)を恐れて対応を断る医療機関もある」「何の補償もなく、診たことのない患者を診るのは難しい」と報告された。
協会からは「公衆衛生の再構築が必要だ。感染症に対して、公立・公的病院の意義があるはずだ。統廃合ではなく、再度公立・公的病院の意義を考えるべきだ」と述べた。
2022年度診療報酬改定に関して、地域包括診療料・地域包括診療加算の対象疾患の追加や耳鼻咽喉科の点数の包括化など、中医協で議論されている内容を報告するとともに、新型コロナ関連の各自治体の補助金の情報を提供した。