協会は12月14日、厚生労働政務三役、中医協会長と全委員、厚生労働省保険局医療課長に、「F100処方料の外来後発医薬品使用体制加算、A243後発医薬品使用体制加算に関する要請書」を提出した。
協会の要望項目は以下の三つ。
一、21年4月の薬価改定、22年4月の薬価・材料価格改定で生じた財源は全て22年度診療報酬改定で技術料等(本体)の引き上げに投入し、大幅なプラス改定とすること。
二、「療養の給付」を受ける権利を奪う、初・再診料からの一定額の控除および受診時定額負担の追加徴収の導入を止めること。
三、21年10月に廃止された感染症対策実施加算をすぐさま復活し、乳幼児感染予防策加算を100点に戻した上で、22年4月度診療報酬改定で恒常的な点数として新設すること。または、初・再診料を大幅に引き上げて感染症対策を評価すること。診療報酬の評価で不足する場合は、補助金の継続・新設を検討して医療機関に給付すること。
技術料等は躊躇なく
大幅に引き上げるべき
財務省は11月8日の財政制度等審議会・財政制度分科会に「社会保障」と題した資料を提出(第3111号既報)。22年度改定は「躊躇なく『マイナス改定』をすべきだ」と主張した。
しかし、この主張にはコロナ禍において医療機関が被った困難に対する考察が欠如しており、20年度の概算医療費は総額42・2兆円、前年度比マイナス1・4兆円(3・2%)であり、過去最大の減少額・幅を記録している。また、11月24日に公表された第23回医療経済実態調査では医療機関の深刻な実態が明らかになっている。
協会は、こうした実態があってなお財務省がマイナス改定を主張するのは、財務省にとって個々の医療機関が経営難に陥り、淘汰されることがあったとしても、それが患者の医療へのアクセスを脅かすものであるという認識が欠如しているからに他ならないと指摘。必要なのは継続した医療提供体制の強化であり、22年度改定において、診療報酬の技術料等(本体)を躊躇なく大幅に引き上げることだと指摘した。
受診時定額負担の拡大等は
実質的給付率の引き下げ
協会は、中医協が11月21日に議論した、紹介状なしで大病院に受診する場合等の定額負担(いわゆる受診時定額負担)とこれに伴う保険給付の範囲から一定額(初診時2000円、再診時500円)を控除する方法は、どのような理屈を捏ねようがこれは明らかに患者負担増であると批判。本来は健康保険法等の改定が必要なものであり、この制度変更だけをもってして国民に周知した上で国会に法案を提出し十分に審議すべき重大な制度変更だと指摘して、国民の理解も得ずに実施を自明の理であるかのような検討をすることは、民主主義国家として絶対に行ってはならない。国民が社会保障を受ける権利を国家が一方的に剥奪する企みであり暴挙だと強く批判した。
また、11月に実施した代議員アンケート「医療機関の感染対策」の結果を踏まえて、感染対策に係る費用について改善を要望した。