協会は10月29日、伏見医師会との懇談を皮切りに各地区医師会との懇談をスタート。本年度の協会からのテーマは①2022年度診療報酬改定―コロナでどうなる中医協での議論、②新型コロナウイルスを取り巻く諸課題と今後の医療提供体制。今年度も新型コロナ対策として、多くの地区医師会でウェブでの開催を予定している。ぜひ出席してご意見等をお寄せいただきたい。
伏見医師会と懇談
10月29日 伏見医師会館
医療提供体制整備と国内データによる施策が急務
伏見医師会との懇談会を10月29日に伏見医師会館で開催、地区から役員6人、協会から6人が出席した。伏見医師会の松山南律副会長の司会で開会。
辻一弥会長は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のワクチン集団接種は無事に終了した。京都府の陽性者数の激減の理由や、3回目接種の見通しははっきりしない。衆議院選挙の結果はどうあれ、医療のことはしっかりやっていただきたい。今日は新型コロナのことをじっくりと教えてほしいとあいさつした。
鈴木理事長からは、日頃からの協会活動への理解・支援に謝意。新型コロナが落ち着いている時に、第6波への体制整備が必要だ。医療提供体制の改善は急務である。急性期病床の削減、公立・公的病院の統廃合など病床を減らし機能分化させ、硬直化し柔軟性がない病床運営を迫られている。コロナ禍のような不測の事態が起こるとたちまち対応できない。地域の開業医における新型コロナ対応やワクチン接種をめぐる問題も同様であり、今後の医療提供体制をどうすべきかなど、忌憚のないご意見を頂戴したいとあいさつした。
意見交換では、地区から新型コロナ関連で下記3点の協会見解の質問があった。①ワクチン3回目以降(ブースター)接種②若年者、未成年者のワクチン接種③ワクチンパスポート・接種証明書による行動規制。
協会はこの3点について理事会等で深く議論していないため、あくまで私見として鈴木理事長が回答。①ブースター接種は、第6波に備えて今後の感染者を減らし、重症者、死亡者を減らす。一般の高齢者や医療従事者への対策としての接種は進めていくべきと考える。従来のワクチンだけではなく、変異株等に対する新しいワクチンの開発が課題となる。
②米国CDCのデータをそのまま当てはめるのではなく、慎重に日本のデータ(ワクチン接種と感染者の因果関係)を正確に分析して案内する必要があり、現段階では時期尚早と考える。
15歳以上の高校生は、受験など社会的要因もあるため、重症化を防ぐ意味でも適用はあろうが、それ以下の年齢の子どもたちへの適用にはデータ不足と考える。
③ワクチンパスポートの発行は、欧米を中心とした諸外国が、入国や入店、イベントへの参加要件として進めている。日本国内での対応や、水際対策として諸外国との往来をどう考えるか、社会的な判断も必要となる。
接種証明書がなくても、ワクチン接種や三密回避など、感染予防対策を継続的に行っていることが、感染抑制につながっており、社会経済活動を加速させることができる。先生方のお考えを出し合って議論できれば良いと考える―と回答した。
閉会に際し、髙謙一郎副会長は、マスメディアの情報を鵜呑みにするのではなく、情報は自分で探り出して入手することが肝要。今後もこのような会で話し合いながら進めていきたいとあいさつした。
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