協会は、TPP反対京都ネットとの共催で10月9日、食の安全問題講演会をウェブで開催。市民バイオテクノロジー情報室代表の天笠啓祐氏が「遺伝子組み換えとゲノム編集」をテーマに講演した。参加者は31人。
天笠氏は、遺伝子組み換え食品の現状として、①日本人が一番食べていること②安全性に疑問があること③生態系に悪影響を与えていること④企業による種子の独占(食料支配)をもたらしていること―を解説。世界における遺伝子組み替え作物の作付けについて、稲・小麦は抵抗が大きく、開発作物、栽培国ともに行き詰まっている状況であるものの、日本では遺伝子組み換えの大豆、トウモロコシ、綿、ナタネの全4作物が確実に流通しており、飼料として日本に入り込んでいるテンサイ、アルファルファ、パパイヤ、ジャガイモも遺伝子組み換え作物である可能性があると指摘した。これら自然界に存在しない生物を作ったことで、生物多様性を脅かし、スーパー雑草、スーパー害虫と言われる遺伝子組み換え作物に耐性を持つ生物を生み出したと説明。交雑種の拡大も指摘されており、自然界への影響は大変大きいと述べた。
また、遺伝子や作物自身が特許にあたるため、農家は作付けのたびに企業から種子を購入しなければならず、企業による種子支配をもたらしたと指摘。遺伝子組み換え作物の有害性もさまざまな大学、医学会の研究チームから指摘されており、免疫システム、生殖や出産、解毒臓器への影響・障害が報告されているとした。
ゲノム編集についても解説。遺伝子組み換えが足し算の技術とすると、ゲノム編集は引き算の技術と説明し、例えば寒さに敏感な遺伝子を壊すことで寒さに強いトマトを開発するなど、特定の遺伝子の働きを壊す技術だとした。ゲノム編集は作物だけでなく、動物への応用も活発に行われており、筋肉量を増大させた肉厚なマダイや豚、角のない乳牛、成長スピードが2倍の鮭、ペット用に開発された大きくならないマイクロ豚など、枚挙にいとまがないと解説した。
最後に天笠氏は、ゲノム編集技術について、「壊してよい遺伝子などなく、生命をもてあそぶことになる」とし、ゲノム編集を行うためには大量の切断遺伝子を投入するため、切断近辺での大規模な変化や操作対象外の遺伝子の切断、操作した細胞と操作しない細胞が入り乱れるモザイクをもたらすことになる。我々にできることは、遺伝子組み換え・ゲノム編集食品を拒否し、産直システムを活用すること、また政府に規制を求め、自治体に独自の条例を求めること、学校給食に遺伝子組み換え・ゲノム編集食品の使用を認めないよう働きかけることだとした。
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