コロナ禍における2020年度概算医療費は総額42・2兆円となり前年度比約1・4兆円(3・2%)減で、17年度並みとなった。入院3・4%減、入院外4・4%減と減少額・幅は過去最大。特に未就学児は0・27兆円(19・1%)減、呼吸器系疾患が0・57兆円(25・3%)減。診療所は5・3%減、中でも小児科が22・2%減、耳鼻咽喉科が19・5%減と大きく減収。病院では公的病院4・9%減、大学病院3・3%減となった▼日本病院会などの3病院団体の病院経営状況調査によると、平均では20年度決算で収入減により医業利益は前年より赤字額が増大していたが、それを上回る補助金で黒字に転換している。自治体が経営する公立病院事業も減収だが、赤字から黒字転換。日赤、厚生連、済生会も同じ傾向である。国立病院機構、JCHO、国立大学病院も減収増益。1兆を超える病床確保等の補助金で、マクロでは病院の経営は守られたと言える▼日医の調査では診療所は病院向けのような大きな補助はなく、おおむね減収分に比例して減益となっている。3月だけは単月で発熱外来に対する補助金が入って前年対比増収増益となっているが、年間では病院のような逆転現象は少ない。個々の医療機関で異なるのは当然として、総体的には病院と診療所で明暗を分けた2020年度であった。(彦)
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