府内の医療提供体制拡充を 第6波見据え府と京都市に要請  PDF

 協会は新型コロナウイルス感染症の第6波を見据え、医療提供体制の強化を求めて京都府・京都市に9月17日、要請を行った。
 凄まじい勢いで日本列島を呑み込んだ第5波は、現在の感染症法や新型インフルエンザ特措法に基づく施策の体系では、到底すべての患者に対する医療を保障することはできないことをあらためて明白にした。協会は、次に備えて地方自治体とすべての医療者が出し得る力を発揮し、京都府民の生命を守る体制を構築する必要があるとして、次の6項目を要請した。なお、要請書は府健康福祉部健康対策課、京都市保健福祉局医療衛生推進室医療衛生企画課に提出した。

住民の生命守るため
今できることを

 ①新型コロナウイルス感染症に罹患した患者に良質かつ適切な医療を提供できるよう、1床でも多く、病床を確保していただきたい。そのためにも、公立・公的病院に新たに新型コロナウイルス感染症患者受け入れ病棟を設置すること。設置するにあたって、京都府のリーダーシップにより、地域単位での病院間連携体制を構築(情報共有・会議開催等も含めて)し、一般医療における患者の受け入れや新型コロナウイルス感染症の重症度に応じた相互の受け入れがスムーズに行えるようにすること。
 ②宿泊療養施設における医療機能をさらに拡充する必要があり、入院待機ステーションと宿泊療養施設の機能を併せ持った臨時的医療施設を設置していただきたい。これにより、施設療養中に重症化した患者への酸素療法や中和抗体療法が同一施設内で行えるようにすること。その機能を果たせる形状のホテルを新たに借り上げ、配置する医師、看護師、出務医師等スタッフ体制を強化すること。
 ③保健所の危機を克服し、地域住民の生命を守る体制を再構築すること。京都府は、府内の各保健所のひっ迫を鑑み、地区医師会との連携を強めるとともに、自宅療養者への生活支援について、新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡「感染症法第44条の3第6項の規定による都道府県と市町村の連携について(周知)」(21年8月25 日付)に基づき、市町村と連携して行っていただきたい。京都市は、自宅療養者への健康観察を本庁(医療衛生企画課)での対応だけでなく、11区役所と3支所において、地区医師会との連携を図りながら実施できるよう体制を変更していただきたい。
 ④自宅療養中の陽性患者ヘの診療を行う医師への支援の強化を求めたい。京都市域も含め、自宅療養中の陽性患者への診療(往診を含む)を行う医師への支援を強化していただきたい。そのためにも、医師・看護師が新型コロナウイルス感染症に感染し、休診を余儀なくされた場合、速やかに補償する制度の創設、医師・看護スタッフが定期的にPCR検査を実施できるための財政保障、中和抗体療法の適応を臨床医師が判断できる仕組みへの変更等を求めたい。
 ⑤インフルエンザとの同時流行に備え、ワクチン接種の啓発と確保を求めたい。日本ワクチン学会は「COVID-19とインフルエンザの流行期が重なることによる外来受診患者の増加や医療体制の逼迫は、今冬の2021~22シーズンにも懸念」されると指摘(21年6月21日)しており、「生後6カ月以上のすべての人に対するインフルエンザワクチンの接種を推奨」している。府民に対し、今シーズンのインフルエンザワクチンの接種の重要性を発信し、希望する人にワクチンが行き渡るよう確保していただきたい。
 ⑥学校や子どもたちが生活する施設への対策強化を求めたい。
 第5波では学校における子どもたちの間での感染拡大が顕著である。学校のみならず、子どもたちが生活する社会福祉施設・教育施設において、必要な検査が必要に応じて実施できる体制の実現や、日常的な感染防止対策、陽性者の発生にあたっての休校・施設閉鎖や学級閉鎖の判断等の課題が、個々の学校・施設や各自治体担当課任せにならないよう、専門家の知見も踏まえ、適切な助言・支援を可能とする体系的な仕組みを構築すること。

図 京都府の医療および療養の体制

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