第74回定期総会
協会は第74回定期総会を8月1日に京都市内のホテルで開催。感染対策のため会場と出席者をネットでつなぐハイブリッド形式で実施した。100人(代議員68人、一般会員10人、役員22人)が出席し、2020年度活動報告と2021年度活動方針、決議案等を採択した。(関連2・3面)
20年度協会活動を総括
茨木和博副理事長が20年度の活動を総括。新型コロナウイルス感染症拡大の第1波より、公的発熱外来の設置、保健所機能の抜本強化、PCR検査体制拡充、発熱患者受入体制の整備、医療機関への経営支援などの国、京都府、京都市に対する要請活動を重点的に報告した。ワクチンについても、接種体制の確保に向けて集団接種の拡充などを中心に京都府、京都市へ要請したと述べた。
また、国や自治体から出されるコロナ関連の支援策をとりまとめ、本紙をはじめメールマガジンやファクスネット、ホームページを駆使し、会員への周知に努めたと報告した。
診療報酬関連では、臨時的取扱いとして緩和されたオンライン診療について、普遍的な算定要件の緩和、容易化には反対という会員の声を要請書としてまとめ、厚労相に提出。続けて、20年度改定の不合理是正を求めた要請書、22年度改定での初・再診料等の引き上げを求める要望書を提出したと報告した。
京都市の財政悪化を受けて設置された持続可能な行財政審議会に対しては、京都市の福祉医療制度の拡充に関する要請書を提出。京都市の福祉施策見直しの再考を求める副理事長談話を発表したとした。
コロナ療養者守る提供体制構築を
続いて、渡邉賢治副理事長が情勢を報告。新型コロナウイルス感染症によって、京都府でも病床が逼迫。21年5月には自宅療養中の20代患者が死亡する事例が発生するに至った。保健所の実施する「健康観察」の枠組みだけでは、患者の生命・健康を守ることができない。医療者の配置を充実し、現場で医師が裁量を発揮することで、必要な検査・治療につなげることが重要と訴えた。
一方で、コロナ収束に向けて期待されるのがワクチン接種であり、府内全ての自治体で、行政と医療者が相互に信頼関係を構築しながら、希望する全ての人に早期にワクチンが接種できるようにしなければならないと述べた。
さらに、コロナによる困難が引き続き継続しているにもかかわらず、政府・財界はポストコロナに向けた経済財政政策の構築に動き始めている。第204回通常国会では、全世代型社会保障改革の一環として後期高齢者の窓口一部負担2割導入が強行され、医療提供体制改革も従来のまま粛々と推進する構えと指摘した。開業医を「専門外来」「かかりつけ医」へと二分することに繋がる「外来機能報告制度」創設や、財務省建議による地域別診療報酬への言及などは看過できない動きだと強調した。
また、国が目指す壮大な国家改造構想である「デジタル社会形成」について、さまざまな医療データを蓄積することで医療平準化につながる危険性が高いと警鐘を鳴らした。
提言・要請重ね政策の転換求める
情勢報告を受けて、鈴木卓理事長が21年度活動方針を提案。昨年度に引き続き、今年度もコロナ対応を重点課題として挙げ、医療提供体制やワクチン接種体制などへの合理的で確実な推進に寄与するよう、政策提言や要請などを重ねていくとした。
また、コロナによって浮き彫りとなった体制や制度の不備・不足に対し、根本から見直しを図るよう、今後の医療政策の検討を重ねながら、対案を提示して訴えていきたいと述べた。並行して、以前から取り組んできた課題についても発展・深化していきたいと提案し、ほぼ全会一致で承認された。