京都市は6月に公表した行財政改革計画案で、「このままでは、公債償還基金が枯渇し、10年以内に市の財政は破綻」し、急激かつ大幅な行政サービスの低下を招きかねないとして、行財政改革が必須である。国保保険料の約3割値上げや敬老乗車証の廃止、保育料値上げなどが避けられないとした。これに対し協会は子ども医療費京都ネットと連名でパブリックコメントを7月9日に提出した。
京都市の財政悪化の大きな要因として地下鉄事業の財政支援があげられているが、計画案にはこうした見通しの甘い大型事業のことは微かに触れられるだけである。意見では、その反省や責任は顧みられていないことや、大部分は社会福祉施策が収支バランスを欠いて他都市を上回るからとサービス見直しの必要性に割かれていることを批判。大型プロジェクトや観光への傾注に検証と反省の視点を持たねば、そのしわ寄せが市民や社会的弱者の施策に及ぶ構図が続くことになると指摘した。
また、具体的な見直しの対象にあげられている小学生のむし歯治療を無料とする「学童う歯対策事業」については、「子ども医療費支給制度との一体化などに向けて、子ども医療費全体の観点から再点検を実施」とある。現状の京都市の子ども医療費支給制度は、外来で3歳以上から月1500円負担となり、京都府内で最低のレベルであり、他都市と比べても相当に見劣りするレベルだ。しかも就学前から月1500円負担であるため、学童う歯制度につなげるまでに空白期間(この間に口腔崩壊となっては元も子もない)が生じ、とても一貫した制度設計とは言えない。外来月200円負担の対象を小学校卒業まで広げることができれば、他都市と比較しても遜色ない前進と評価できると、制度の再設計を促した。
さらに、市民にとって住みやすい魅力あるまちにするにはどうしたらいいか、それが税収の安定にもつながる道でもある。市民目線で一層の知恵を絞ってもらうよう求めた。
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