京都市の個別接種が5月11日、集団接種が29日から開始された。
協会が当初より危惧していた通り、個別接種では予約や問い合わせの電話が医療機関に殺到する事態になった。集団接種は予約が5月20日から開始されたが、即日定員人数に達し、先着順であることへの不満が多くの市民から市に寄せられたと報道された。
こうした事態を受け協会は5月27日、京都市に対して集団接種の積極的拡充を要請。協会から渡邉副理事長が出席した。
要請に際しては、京都市の情報を元に集団接種・個別接種の人数見込みを試算。市の高齢者人口約42万人、2回接種で約84万回のうち、集団が約7万5千回、個別が約75万回と算出し、7月末接種完了が見込める数字ではないと指摘。その上で、行政と医療者の英知を結集し集団接種を拡充するよう求め、診療所の休診が多い水・木曜の活用や、集団接種会場の対応人数の引き上げ、二重予約の解消や医療機関の日常診療への影響回避のため、個別接種の予約も市が担うことなどを要請した。
京都市当局からは、市民の方に安心安全に接種を受けていただくという方向は同じと考えている。マンパワーや場所の制約などの条件の中、集団接種の先着順の予約を見直し、登録制へと変更した。この変更で集団接種を希望する高齢者数を把握し、必要に応じて集団接種を拡充していきたいとのコメントがあった。
京都市 集団接種の拡充と予約方法変更を発表
5月26日の京都市長記者会見で、集団接種の予約方法を先着順から登録制へと変更すると発表された。
接種希望者はまず京都市ポータルサイトおよびコールセンターで、接種券番号、本人氏名、生年月日、希望する接種場所の行政区、連絡先を登録する。京都市は登録情報を確認し、接種できる予約枠を1週間ごとに確定。希望者(登録者)に接種予定日からおおむね1週間前に「接種日時・会場」を案内するとしている。
登録の第1期は5月31日から6月6日までの期間としているが、以降も登録受付は継続する予定だ。
京都市は今回の変更で、集団接種を希望していても、まだ予約が取れていない人の全数などを把握することができる、医療機関に電話等が殺到する事態を解消できると説明している。
また現在の個別接種とは別に、おおむねかかりつけ患者の接種が終わり、自院以外の患者の接種を受け入れる余裕ができてきた医療機関に、積極的にかかりつけ患者以外の接種の協力をお願いしたいとしている。
かかりつけ医を持たない人は京都市が予約受付変更後の集団接種の登録制で一元管理を行う。かかりつけ患者以外を受け入れると意思表示した医療機関には、事前に接種可能な日時、人数等を確認した上で市が接種者をリスト化し、ワクチンとともに医療機関へ届けるとしている。
府・京都市で大規模接種会場設置
また、京都府独自の大規模接種会場が亀岡市・サンガスタジアム、精華町・けいはんなホールに開設される。6月15日から毎日で、対象はワクチン接種を希望する京都府内の65歳以上の高齢者となる。
加えて、京都市も大規模接種会場を開設。南区のイオンモールKYOTOと上京区の西陣織会館で、平日開設で調整している。
接種料に追加支援策
接種料については、4月30日の厚労省事務連絡で時間外と休日の加算が示された。さらに、5月25日の政府関係閣僚会議で追加支援策が決定。同日、厚労省事務連絡で内容が通知された。京都市もかかりつけ患者以外のリストを受け入れ、接種する医療機関対象に、独自支援策を打ち出した。(2面図参照)
いずれの支援策も、5月31日の時点で請求方法の案内はこれからとなっている。
協会は接種料への加算は歓迎するものの、接種する回数で線引きを行う支援策には懐疑的だ。医療機関は日常診療を守りつつ可能な限り接種体制に協力している。報酬を増やせば回数が伸びるといった短絡的なものではない。
さらに京都市の場合、個別接種でもかかりつけ患者以外を受け入れている医療機関があるが、支援策は今後、市からのリストを受け付ける医療機関に限られる。こうした問題点を引き続き要請の中で指摘していきたい。
(1面関連)ワクチン接種に係る新たな支援策
厚生労働省
ワクチン接種対策費負担金
・単価:2,070円/回
・時間外・休日の接種に対する加算(時間外:+730円、休日:+2,130円)
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金
個別接種
①「診療所」における接種回数の底上げ
・週100回以上の接種を7月末までに4週間以上行う場合⇒+2,000円/回
・週150回以上の接種を7月末までに4週間以上行う場合⇒+3,000円/回
②接種施設数の増加(診療所・病院共通)
医療機関が50回以上/日のまとまった規模の接種を行った場合は、10万円/日(定額)を交付。(①とは重複しない)
集団接種
③「病院」における接種体制の強化
特別な体制を組んで、50回以上/日の接種を週1日以上7月末までに4週間以上行う場合に、医療従事者派遣事業と同様の仕組みを活用し、②に加えて追加交付
・医師 1人1時間当たり7,550円 ・看護師等 1人1時間当たり2,760円
京都市
○休診日の開業に要する、体制確保へ一定の支援金を創設
(支援内容)
①毎週120回以上の接種を行う医療機関に対し、1医療機関、週ごとに5万円を交付
②接種1回あたり、接種費用を300円増額
厚生労働省資料「ワクチン接種に係る新たな支援策について」、5月26日付京都市長記者会見資料「新型コロナワクチン接種事業集団接種の拡充と予約方法の変更」より協会作成