国内の医療機関は、コロナ禍に対して患者受け入れから自宅療養者の往診・遠隔診療およびワクチン接種などを通じて、日夜国民の命を守るため懸命に、知恵を絞り多様な医療活動を展開してきた。しかし、現時点で3回にわたる緊急事態宣言が発出され、医療機関の経営はますます苦しく、減収が拡大している。財務省は減収に対して補う方法を提案している。曰く、「診療報酬の不足は、診療報酬で補うことが妥当であり、診療報酬の保険点数を単価補正する方法を検討している」としている。診療報酬の単価の上下操作を提案しており、以下の点で非常に根源的な問題をはらんでいる。
①新型コロナウイルスの感染拡大により、加入者の収入の減少が生じ、多くの健保連が赤字となり益々経営は苦しくなっている(日経4月22日)。そのため、診療報酬でコロナの減収を補うのは極めて困難である。
②4月23日の緊急事態宣言に関して、菅首相は3度目の緊急事態宣言の発出に至った責任を問われ「大変申し訳ない思いだ」と陳謝した(産経新聞4月23日)。即ち、今回の減収は、菅内閣の失策が原因の国家レベルでの経済的な損失の一貫であり、コロナ対応に参加の濃淡により助成金の差をつける全くの筋違いである。
③GoToキャンペーン、オリンピックやパラリンピックの無謀な開催、国に統一的な司令塔がなく知事に任せたために病床確保ができず生じた医療崩壊、ワクチンの安定的な十分量の供給の失敗、などの失策のためコロナ感染症を制御できなかったものであり、国民はその結果、本来回避できたはずの経済的損失を被るに至った。
このような失策が、合理的な英知を結集し尚未知の病原性のため失敗した場合は、国民はやむを得ないものとして応分の負担も考えようが、エビデンスに基づかない思い込みと独断専横の積み重ねにより発生した損失は、国民に負担を求める以前に、内閣の辞任が必要となろう。また補填は財政出動に求めるのが妥当であろう。
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