主張 社会保障で健康・いのち守る 国へ転換求め運動進めよう  PDF

 新型コロナの感染拡大第4波では医療の逼迫が著しい。そんな中、私たちはコロナワクチンの供給量が安定せず、保存管理が難しく、しかも2回接種しなければならないという難点を抱えながらワクチン接種を進めている。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は日本の医療・福祉政策の脆弱さを露呈させた。しかし今なお、国は新型コロナ流行以前の政策を変えることなく、粛々と進めている。
 この間、骨太方針2020では、新型コロナウイルス感染症に対応する入院医療や検査体制の強化が打ち出された。その一方、コロナ以前に策定した18、19年の骨太方針のうち、社会保障分野については「着実に進める」と述べ、これまでの医療政策に変更はない立場を表明した。
 そのような中、今の国会で「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための 医療法等の一部を改正する法律案」と「全世代型の社会保障制度を構築するための 健康保険法等の一部を改正する法律案」が審議されている。医療法改正案で見過ごせないのは外来医療の機能分化の論議だ。入院医療における地域医療構想と同様の仕組みを外来医療についても創設しようとしている。また、紹介状なしでの大病院受診時の定額負担拡大も盛り込まれている。
 健康保険法の改正案では、75歳以上の窓口負担の2倍化が出された。コロナ禍での受診控えで健康状態の悪化が散見される中、高齢者に更なる追い打ちをかけることになる。コロナ禍を隠れ蓑に、またコロナ禍を利用して、何もかもを推し進める姿勢は許すことはできない。
 コロナ後の医療・社会保障制度の在り方の基盤として、公的な社会保障でこの国に暮らす全ての人の生命と健康を守る国、新しい福祉国家をつくる構想が極めて重要となってくる。協会の「社会保障基本法2011」は、そのことを明確に示している。
 コロナ後の世界と日本の国の姿を見据え、私たち医療者が問われている課題は大きい。社会保障充実を求めて更なる取り組みを進めていきたい。

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