小児での皮膚・眼疾患学ぶ 小児科で診療内容向上会  PDF

 協会は4月3日、京都小児科医会・鳥居薬品株式会社と共催で小児科診療内容向上会を開催。会場からのウェブ配信併用での開催で、80人(会場12人、ウェブ68人)の参加があった。

診療内容向上会レポート

 開会冒頭で協会の鈴木卓理事長より、昨年はコロナ禍で診療科では小児科の減収が一番大きく、50%であった。現在少し持ち直しても75%にしか回復していない現状が説明され、今後も小児科を評価してもらい、保険点数のアップに向け、引き続き厚労省と交渉していくと力強いお言葉がありました。次に京都府国民健康保険団体連合会審査委員で京都小児科医会理事の安野哲也氏より、新型コロナウイルス感染症に係わる診療報酬上の臨時的な取扱い、および初再診(特に慢性疾患)のつけ方の原則論の説明がありました。
 講演は2題で、講演1は近畿大学医学部皮膚科学・大塚篤司主任教授で、タイトルは「アトピー性皮膚炎(AD)の病態 up to date」でした。SNS(インスタグラム含む)の情報でステロイドは悪玉と思っている患者さんにいかに説明を工夫して、治療の基本であるステロイド外用薬の使用をしてもらうかの話より始まりました。ADの病態は現在、免疫応答の破綻、バリア機能の異常、かゆみの三つが重要と考えられ、3因子は互いに連関して悪循環を来している。そこにはヘルパーT細胞の多様なサブセットおよび産生される種々のサイトカインの関与がある。
 治療では基本はステロイド外用薬であり(たっぷり塗る、擦り込まない)、プロアクティブ療法の重要性が認識されている。薬剤として他に、タクロリムス軟膏、IL-4受容体抗体であるディピルマブ製剤、さらにJAK阻害剤であるデルゴシチニブの使用も可能となった、以上概略です。
 各分野における最近の進歩は目を見張るものがあります。大変勉強になりました。
 講演2は公益社団法人日本眼科医会・柏井真理子常任理事(京都市北区医療法人社団柏井医院)で、タイトルは「乳幼児の視機能と検査について~スポットビジョンスクリーナーの活用など~」でした。視覚の発達は乳幼児期に著しく、就学までに視機能を発達させることは非常に大切である。現行の3歳児健診では発見されるべき弱視の見逃しが問題となっている。スポットビジョンスクリーナー(SVS)は操作が簡便で健診や小児科でも急速に広まっている。SVSは弱視の危険因子となる斜視、および屈折異常(遠視、乱視、近視、不同視)をスクリーニングする機器である、以上概略です。
 京都府では宇治市が最初に導入しました。
 1日も早くSVSが府内の全ての自治体で3歳児健診に導入実施されることを願っています。
(中京西部・大内 能子)

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