――講習会開催のきっかけは
まず、20年10月末に介護職対象に講習会を開催。新型コロナウイルス感染症の基本的な知識と訪問現場での対応についてだった。ケアマネジャーを中心に感染症の認定看護師、地域の訪問看護師、医師を囲み座談会形式でオンラインで行った。
この時は今後を見据えてということだったが、その後感染は拡大。年が明けて西京区内でも濃厚接触者のみならず感染者のところへもヘルパーが訪問しているという状況で、ヘルパーから京都市西京区在宅医療・介護連携支援センターに「ガウンを用意しているが着脱の方法がわからない」「どこで着たらいいのか。廃棄の仕方は」といった相談が入った。
学ぶ機会がないので教わりたいという声を受けて急遽2月に4日間、「ガウン等の着脱方法講習会」を設定した。
――ヘルパーさんたちの反応は
ケアマネから、ヘルパーが集まり、ガウンを脱ぐ際、後ろの紐をどうほどけばいいのかで小1時間、喧々諤々の議論になっているような状態。大変ありがたい企画だと言われた。
病床も逼迫し、保健所の対応も濃厚接触者のヘルパーがPCR検査を受けられるまでに時間を要している時期だった。その間も介護はもちろん必要で、訪問をやめるわけにはいかない。利用者の感染状況が判然とせず、また濃厚接触者となるのかどうかもわからない中、ヘルパー自身が感染しない、感染を広げないという点で切実な問題だった。
――講習会を通じて得たものは
すべての講習会をあわせて参加者数は15人ほど。短い時間で企画し、案内は2月1日。開催が3日後からなので広く広報ができたとは言えないが、少人数で質問などもしやすい環境になった。再度開催してほしいという声もいただいている。
講習会ではまず動画で着脱を学習。その後、訪問看護師が見本で着脱するのにあわせて参加者も実際に着脱を行った。これを1回の講習会の中で2回行った。一度目は苦戦していた参加者も2回目にはスムーズに。質問も活発で、ヘルパーからは他の事業所はシューズカバーや帽子はどうしているか、どこで着ればいいのか、廃棄の仕方は、など気になる点が出されていた。
講習会の終わりに今後もヘルパーが現場でわからないこと、疑問がある場合に看護師に聞けるよう、西京区訪問看護ステーション連絡会の事業所連絡先を記載した名簿を渡した。以後、訪問看護ステーションに問い合わせがあったと聞いている。西京区内での看護と介護の連携がこの講習会を通じて更に強くなったことを感じた。
今回、スプレー式のアルコールを用意し手指消毒の実践も行ったが、講師役の看護師から必要量が取り切れていないという指摘も。ポンプを下まで押して1回分の必要量だと、実際に手に出して示すと、参加者がその量にびっくりしていた。また、手指消毒がきちんと行えていないとクラスター発生につながったりするという指摘もあり、看護師の知識を現場で頑張っているヘルパーに伝える良い機会になった。
塚本先生にも4回中3回、参加いただいた。看護師だけでなく医師も参加し、ヘルパーが直接コロナで心配していることを聞けたことは大きいと思う。
――コロナへの対応ハンドブックも配られているようだが
京都市紫竹地域包括支援センター等が発行したハンドブックがあり、事前情報の有無から始まる事務所の対応、ヘルパーの活動のフローチャート、新型コロナウイルスの基本情報、訪問前後のチェックシートや予防対策などが掲載されている。今回の講習会では参加者に配るなど活用させてもらった。
また、先ほど述べた西京区の訪問看護ステーション連絡会には、多くの訪問看護ステーションが会員として所属している。西京区在宅医療・介護連携支援センターの顧問も務めていただいている。講習会の講師も連絡会を通じて手配しており、短期間で企画できたのも各方面との日ごろからの関係性のおかげだ。今回はそれを強く感じる講習会となった。
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