4月1日に南丹市の美山診療所が国保直営化を迎えるにあたり、協会は地域医療が従前どおり確保されるよう、3月23日に京都府へ意見書を提出した。
日本は国民皆保険制度で医療を提供し、全国どのような地域で暮らす人に対しても、保険証1枚で必要な医療を必要なだけ無差別・平等に保障されることが原則だ。しかし現実には、医療機関が存在しない地域が日本の至るところに存在している。現在の医療保険制度の仕組みでは、人口が少なく、経済状況が低迷する地域では民間医療機関は採算が取れず、開業することができない。
そこで役割を発揮するのが、公立医療機関である。したがって今回、美山診療所が従来の「公設民営」から南丹市による直営方式へ移行されることは、歓迎すべき方向だ。
しかしながら、せっかくの直営化であっても財政事情から事業縮小が行われるのは見過ごせない。へき地における診療所は本来的に医業が成り立たない地域において、皆保険制度のもと患者の受療権を確保するために設置されるものである。医療提供の実施主体が市町村であれ、国保直営であれ、公設民営であれ、その安定的運営は本来的に都道府県の責務であり、へき地医療への公費投入は必然である。
協会は京都府に対し、府民の生命・健康を預かる立場から南丹市の政策判断を評価・検討し、美山町で暮らす人々の医療保障の後退をもたらすようなことがないよう十分な人的・財政的保障を行うよう求めた。
「自院PCRを公費で」府に再要請
協会は新型コロナウイルス感染防止のための自院での検査を公費で行えるよう3月18日に京都府へ要望した。これは3月1日に京都府医師国民健康保険組合がPCR検査等の自家診療を保険診療として例外として認めることはしないとの考えを発したことから、改めて要望したもの。協会は10月と12月の2回、同様の要望を府に行っている。