時間と空間で工夫 診療所での発熱外来
吉村陽 医師
地域の医療者が奮闘しているその実態を聞きたいと開始した「地域医療をきく! 新型コロナ編」。今回は発熱患者に対応している医療法人吉村医院(相楽)の吉村陽医師に外来での区分や対応方法について話を聞いた。
――一般と発熱の患者さんをどのように分けられているのですか
12時までだった午前の診療を11時までとし、以後を発熱外来に充てている。夜診も同じように7時で診療終了、以後を発熱外来とし、診療日に1時間半~2時間を確保している。当院では昨年4月中旬から開始した。一般の患者さんには発熱外来開始前までに診察に来るようお願いしている。
発熱患者さんには車での来院を依頼し駐車場で待機、徒歩等での受診の場合、今は寒い中申し訳ないが、医院駐車場に設置した発熱外来待合ボックスで待っていただいている。問診も来院前の電話で事務スタッフが概要を聞き、来院後は看護師がインターホン等で詳細を確認している。診察は私と看護師が屋外待機場所まで出向き、診察を行っている。
当院も検査体制は整えているが、幸いインフルエンザ流行もなく、当地区には府医のPCR検査センターと地区医師会の検査外来もでき、基幹病院も積極的に検査を受け入れていただいているので、必要時はいずれかに依頼している状況だ。
――きっちりと区分されているということですね
ところが、そう上手くもいかない。普段から通院されている患者さんが一般診療時間に来院、受付後、「実は熱が……」と言い出すこともある。そうした場合に備え、院内で患者動線から離れた場所に、専用待合をパーテーションで区切り用意。二つある診察室の一つ、角部屋を、壁二面窓を全開し換気を確保、専用診察室としている。
診察室で患者さんを診る場合は、私と患者さんの間にプラスチックパネルの仕切りを置いている(ただお互いの声が聴きづらく横から会話することもある)。
――スタッフとの意思統一はどうされていますか
毎週土曜日の診療後、簡単なカンファレンスを行っている。不安には個人差があり科学的説明だけでの解消は直ぐには不可能なので、一般の診療中も、マスク・手洗いは必須として、不安感や防護具の使用が、診療の妨げにならないよう、各自の判断でフェイスシールド、手袋をしてもらっている。
発熱外来の設け方や患者さんの動線などもスタッフと意見交換しながら、現在の形になった。現時点ではこれが当院でのベストと考えているが、引き続き意見を重ねる中でスタッフにも患者さんにも最良を目指していきたい。